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2008年11月29日 (土)

BMWオラクルのモンスター・トリマラン、サンディエゴでのテスト第1フェーズ終了。

アリンギのヘルムス、エド・ベアードのモンスター・マルチハルによるマッチレースに対する懸念をお伝えしてきましたが、ここで一旦休憩して、対するBMWオラクルのトリマランの情報をお伝えしましょう。

このブログでも何度もお伝えしてきましたが、BMWオラクルレーシング(通称BOR)とその母体であるサンフランシスコのヨットクラブ:ゴールデン・ゲート・ヨットクラブ(Golden Gate Yacht Club:通称GGYC)は、昨年の第32回アメリカスカップ直後に発表された次回大会に向けてのプロトコル(大会運営議定書)の内容を不服として、アメリカスカップの憲法たる「贈与証書(Deed of Gift)」に記載された要件に則り、カップ保持者であるアリンギとその母体であるスイスのヨットクラブ:ソシエテ・ノーティーク・ドゥ・ジュネーブ(Société Nautique de Genève:通称SNG)に対し、「全長全幅90フィートのボート」での挑戦を通達しています。(詳細は当ブログの2007年7月17日7月24日辺りをご覧ください。)

現在GGYCとSNGは上記プロトコルの正当性に関し、「贈与証書」の法的管理者であるニューヨーク州最高裁判所において係争中であり、1審はGGYCが勝訴、2審はSNGが勝訴となりました。その結果、現在GGYC側が上告中であり、SNGが勝訴すればSNG/アリンギに有利なルールの下、複数チームが競い合う形の第33回アメリカスカップが開催され、GGYCが勝訴すれば「相互の同意」に基づくルールの策定をSNG/アリンギへ迫ることになり、もしこれをSNG/アリンギが拒否すれば、前述の挑戦状に則った「全長全幅90フィートのボート」による第33回アメリカスカップが、BMWオラクルとアリンギだけが参加する形で開催されることになります。

現段階ではどちらが勝訴するか全く予断を許さない状況のため、両チームとも「全長全幅90フィートのボート」の開発を進めており、まずはBMWオラクル側が先行して9月に巨大トリマランをシアトル近郊にて進水、その後場所をサンディエゴへ移してテストを繰り返していました。今回のBMWオラクルの発表は、そのテストの第1フェーズが無事終了したというものです。以下はその詳細です。

このモンスター・トリマランが持ち込まれた時、私の住む地元サンディエゴでは、BMWオラクルはこのボートでトランス・パシフィック・レースへ参加することを検討しているという報道がされていましたが、下記クーツのコメントを見るとあながちウソではないような気がしてきます。

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BOR 90 はサンディエゴにおける帆走テストの第1フェーズを無事終了しました。

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BMWオラクルレーシングのCEO兼スキッパーであるラッセル・クーツは、米国西海岸時間の11月28日、シンジゲートの最新技術を投入したトリマラン、BOR 90 のサンディエゴにおける帆走テストの第1フェーズが無事終了したことを発表しました。

全長90フィートのハイテクトリマランは、10月からカリフォルニアの太平洋沿岸で実施されてきたテストデータを基に、よりパフォーマンスを向上するための様々な改造をうける予定です。今後数ヶ月をかけて、このトリマランをより速く、またよりレスポンスの良いボートとするため数々のデザイン変更が加えられます。さらにクルーの人数、ポジションについても最適化が行われます。

これら改修後、BOR90 は来年1月下旬より数ヶ月をかけて、再びサンディエゴにおいて帆走テストを実施する予定です。

クーツは次のように述べています。

「この7週間、実に素晴らしいテストを行うことができた。チームが懸命に働いて、ボートを限界まで攻めてくれた結果、BOR 90 の持つ多くの長所と同時に、改良すべき幾つかのポイントも見極めることもできた。またBOR 90 が如何なる海面や風のコンディション下でも、絶えず風速の1.5~2倍のスピードで帆走可能なこともわかった。全く驚くべき軽快さだったね!あらゆる点において、こいつは我々の誰もがかつて経験したことのないような、とてつもないマシンだよ。最高のテクノロジーが最高のパフォーマンスを実現したといえるね。」

クーツはまた、このトリマランで何らかのレースに出場する検討を開始したことを明らかにしました。

「なにもアメリカスカップだけが、こいつでレースをする選択肢じゃないんだ。もちろん我々が上告審で勝訴して、さらにアリンギがより公平なルールの下、複数チームが競い合う形での次回アメリカスカップ開催を拒んだ場合、「贈与証書」の規定に則ってこのボートで闘うことが我々の本来の使命さ。でも我々は、モノハルボートを使用し複数チームが参加するという従来通りのアメリカスカップの開催という形でアリンギと同意に漕ぎ着けることを、決して諦めたわけじゃないんだ。その場合に備えて、我々はこのボートの使い道を色々と検討しているところだ。例えばマッチレースや通常のフリートレースはもちろん、スピード記録に挑戦することだって考えている。」

最後にクーツはこう付け加えました。

「BMWオラクルレーシングの全てのメンバーを代表して、サンディエゴの皆さん、特にサンディエゴのヨット界やその他多くの皆さんから受けた素晴らしい歓迎に対し、感謝の気持ちを表したい。」

なお今回の帆走テスト第1フェーズは、ワシントン州アナコルテス沖のピュージェット・サウンドにおいて、9月上旬に実施されたシェイクダウンテストに引き続き実施されたものです。

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