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2008年12月 4日 (木)

ラッセル・クーツからスペインへの返事

何となんと、アイレ・チャレンジ(Ayre Challenge)のCEOペドロ・ペレーリョ(Pedro Perelló)の手紙が届けられてから24時間も経たないうちに、BMWオラクルのCEO兼スキッパー、ラッセル・クーツからの返書が戻ってきました。

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基本的には「公平なルール作りさえ行われるなら、いつでも提訴を取り下げ、事態の正常化に協力する。」という従来からのBMWオラクルの主張が繰り返されています。しかし、今回の返書は従来の主張からさらに踏み込んで、事態収拾に向けた具体的な条件が提示されており、その点において非常に注目すべき内容となっています。

まずクーツは、BMWオラクルとしても他の挑戦チームと合流することを熱望しており、これまでも ISAF (国際ヨット連盟)の調停案を受け入れるなどして、新たな提案や譲歩案を提示してきたとしています。同時にペレーリョが、BMWオラクル&クーツは次回アメリカスカップに不可欠であると訴え掛けたことに対し、謝意を述べています。

またクーツは、BMWオラクルが12月15日の締め切りまでにエントリーを提出する用意のあることを明らかにしました。しかし、これには公平なルール作りが行われていることが明確に示されねばならないと付け加えています。これは、前日の書簡でペレーリョがアリンギ主導の下、公平なルール作りが行われつつあると伝えたことを受けています。

ここでクーツは具体的な条件を提示しています。即ち、12月8日までに現段階でのプロトコル(大会運営議定書)、大会規則、競技規則の草案をアリンギからBMWオラクルへ提示させるようペリーリョに求めています。その上で、15日のタイムリミットまでの1週間を掛けて、BMWオラクルが提示している事態収拾のための10箇条(後述)が考慮されているか否かを検証し、内容的に受け入れられるものであれば、提訴を取り下げエントリーを提出するというものです。

一方、もし12月8日までに草案の提示がない場合、或いは提示があったとしても内容的に受け入れ難い場合は、これまで続けてきた和解への努力は一切取りやめ、法廷で決着をつける道を選ぶとしています。

やはり、BMWオラクルも振り上げた拳の下ろしどころを探っていたのでした。しかし、余りにも高く振り上げてしまったため、「余程のこと」がない限り難しいのでは? と昨日お伝えしましたが、上記条件が正に彼らにとって「余程のこと」といえるものなのでしょう。

ともかくこれでボールはアイレ・チャレンジ、そしてアリンギに投げ返されました。これに彼らがどう応えてくるか非常に注目されます。この対応如何によって、ここで一気に事態収拾へ向かうことができるか、或いは泥沼の法廷闘争からマルチハル艇での一騎打ちと、さらに無駄な半年~1年を費やすことになるか、非常に大きなターニングポイントに立たされているといえます。

アリンギ側も大人の対応をして、事態の収拾に向かってくれることを祈るばかりです。

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BMWオラクルが提案している事態収拾のための10箇条は、本年11月18日発表されたもので、最後の10条を除いた9箇条は、昨年BMWオラクルが開催した挑戦者会議での合意に基づいたものです。詳細は以下の通りです。

1. ルールの如何なる変更も、防衛者と挑戦者代表(Challenger of Record = COR)の「相互の合意」が必要とされる。

2. ACボートのクラスルール、大会規定、競技規定の合意に関わる挑戦者代表の如何なる決定も、全挑戦チームの多数決(1票/チーム)で決められなければならない。また、一旦合意したプロトコル、大会規定、競技規定の改正には、防衛者を含む全チームの全会一致が要求される。

3. 現在の調停委員は解任し、新たに5名からなる調停委員を任命する。任命に当たっては、防衛者と挑戦者委員会が各々2名を任命し、残る1名は前述の4名が選任する。

4. 防衛艇は挑戦艇決定戦の1次予選、2次予選、ラウンドロビンまでは出場できるが、準決勝以降は出場できない。本件に関するオプション案は、10月17日付のラリー・エリソンからエルネスト・ベルタレリに宛てた書簡に記載されている。

5. 「公平な競技」の条項は、レース・オフィシャル、審判、調停委員にまで拡大適応される。

6. レース委員長は、防衛者と挑戦者代表双方の同意の下任命される。レース委員長は、前回大会と同様な権限を持ち、プロトコルに則った公平な競技運営を遂行する責任を負う。

7. 前回大会に出場したチームのエントリーは受理されなければならず、調停委員会の裁定なしで失格とすることも出来ない。

8. 第33回大会は、継続出場を希望する前回出場チームの参加の下バレンシアで開催される。大会運営方式やスケジュールに関しては、ACM(アメリカスカップ・マネジメント)から事前に発表され、また参加チームの同意なしに変更できない。

9. 防衛者、挑戦者とも建造艇は1艇とする。このため防衛艇決定戦は廃止し、防衛艇の挑戦者決定戦への参加を認める。(註:スイスから新たなチームのエントリーがあった場合、従来なら防衛艇決定戦を行う必要がありました。)

10. タバコ等、従来から禁止されている業種を除き、スポンサーの業種に制限を設けない。さらにACMが各チームの既存スポンサーと競合するイベントスポンサーと契約する場合は事前協議が必要であり、その場合各チームはACMのイベントスポンサーのロゴを自艇に表示しないか、或いはイベントスポンサーに協力するかのどちらかとする。

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