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2009年3月27日 (金)

一方法廷では・・・ BMWオラクル対アリンギの口頭弁論 (5)

さてさて、この10日間ほどはWBCに熱狂して、すっかり更新が滞ってしまいました。一方で、次回アメリカスカップを巡るBMWオラクルとアリンギの法廷闘争に対する判決は、今月中に出るとされています。

そこで、取り急ぎニューヨークを拠点として活動する弁護士、コリー・E・フリードマン氏がScuttlebuttへ寄稿したBMWオラクル対アリンギの口頭弁論に対する分析の最終回をお伝えすることにします。(1回目2回目3回目

Scuttlebutt: Part 34 - Where were you on February 10th?

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事前書類の提出から口頭弁論までのどこかで - 恐らくはニューヨーク・ヨットクラブが提出した第3者意見書の内容を受けて - マホーニーは以下の解釈を完成させていた。

  1. 挑戦者代表が贈与証書の要件を満たしているか否かは、防衛者に挑戦を表明した段階の状態をもって判断される。
  2. 挑戦者代表が挑戦者セレクションシリーズで敗退した場合、これに代わって新たな挑戦者代表が任命される。
  3. 「相互同意による挑戦者(挑戦者代表以外の挑戦者)」が贈与証書の要件を満たしているか否かは、挑戦者代表を破り、新たな挑戦者代表となった段階の状態をもって判断される。

スミス判事はこのマホーニーの解釈にすぐさま納得し、これを支持した。(註:この解釈で行くと、もしCNEVが挑戦者代表ではなく、その他の一般挑戦者であれば問題なかったということになる。)

マホーニーがミスしたのは、いわゆる「相互同意による挑戦者」という解釈がアメリカスカップ史上、現実には存在しなかったことだ。1970年にチャレンジャー・セレクションシリーズが開始され、その後ルイヴィトン・カップへと形を変えたが、この間カップ防衛者は単にチャレンジャー・セレクションシリーズの勝者を最終的な挑戦者代表として認めてきたに過ぎない。そして、この最終的な挑戦者代表が決まるまで、セレクションシリーズに参加している全ての挑戦者は、アメリカスカップ本体とは異なるイベントへ出場しているとみなされてきたのである。この最終的な挑戦者代表は、挑戦者となった段階で贈与証書の示す要件を満たしているか否かの資格を問われることになるが、途中で敗退した挑戦者に対しては資格の有無が問題とされたことはなかった。

恐らく直前の下調べか、或いはヨット関係者の助言によって、マホーニーはこの解釈に行き着いたのではなかろうか。しかし、これは自らも入念に下調べを行ったスミス判事を充分納得させ得るものだった。要は如何に判事たちを納得させるかが重要なのである。

Judge_by_nyca_2

目隠しされた自由の女神による審判 (皮肉たっぷりなアリンギの風刺画)

Copyright by Mark O'Brien/Alinghi

マホーニーは言及しなかったが、このセレクションシリーズの歴史に関する検証以外にも、和解によってGGYCが次回アメリカスカップへ参加する道も残されているなどとは妄言に過ぎないとアピールすることも可能だった。実際、一方的に次回アメリカスカップへのエントリー締め切りを2008年12月15日に設定し、そしてGGYCに対し訴訟の取り下げがエントリー認可の条件であるとしたアリンギの行動は、和解とはかけ離れたものであったといわざるを得ない。前述の “スラムダンク”に加えて、このことに言及しておけば、正に1960年のワールドシリーズ第7戦9回裏、ビル・マゼロスキーが放ったのと同様の劇的なサヨナラホームランとなっただろう。恐らくマホーニーはそこまで気づいていなかったか、或いは充分なリードを築いているうちに止めておこうと思ったのかもしれない。

とにかくマホーニーは素晴らしい弁論を披露した。いまや最終的な決定は判事達の手に委ねられたわけで、ここまで述べてきた私の見解とは全く異なる判決が下されることだってあり得る。世の中には色んな考え方があり、実際インターネットのおかげで、世界中のセーリングファンはもとより、彼らの友人、親戚、ペットさえも、私の見解と比べながら、ああでもない、こうでもないと自分たちの意見を戦わすことも可能だ。

唯一私が言えることは、法廷はニューヨークの法に則り、アメリカスカップを正しい方向へ導くと同時に、多くの人々に受け入れられる判決(恐らくは法廷独自の追加意見を伴う)を下すに違いないということだ。

(終わり)

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さて皆さんはこのコリー・E・フリードマン弁護士の分析をどうご覧になったでしょう?もちろんフリードマン氏はアメリカ人なので、BMWオラクル寄りの意見となるであろうことは考えられます。しかし、それを差し引いても、彼の意見は充分理にかなっているように私には感じられました。

これを見る限り、判決はBMWオラクル側に有利なものとなると予想されますが、もしアリンギが勝訴することがあれば、それこそ驚きとなるでしょう。審判の日はもうすぐです。

さて、ブログ主とんべえ一家は、本日これから3000km離れたジョージア州まで花見旅行に出掛けます。かつてアトランタ近郊に住んでいたことのある私にとって、ほぼ14年振りジョージアですが、果たしてどれだけ変わっていることか・・・

裁判の行方についても、現地から注意深く見守って行きたいと思います。

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