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2009年6月 1日 (月)

BMWオラクルのスタッフが自殺?【続報】

※この記事は2009年6月段階の情報であり、アメリカスカップの最新情報に関しては、当ブログのトップページ、或いは左に記載されている最近の記事をご覧ください。(2010年1月追記)

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先日お伝えしたBMWオラクルの大量解雇とスタッフの自殺ですが、その後セーリング・アナーキーのスレッドにも明確なソースが中々示されなかったので、「やっぱりガセネタか・・・」と思っていたら、ニュージーランドの全国紙、ニュージーランド・ヘラルド紙とスタッフ紙がそれぞれ詳報を掲載しました。

New Zealand Herald: Mystery death of America's Cup Kiwi

Stuff: Renowned trainer's death a mystery

これら報道によると、亡くなったのはチームのフィジカルトレーナーであったポール・ウォールバック(37)で、解雇された直後の5月24日(日)にバレンシアのアパートで死亡しているのを元ガールフレンドが発見したということです。

発見者である元カノ女によれば、亡くなる前日ウォールバックはBMWオラクルのベースでチームメートと卓球をして過ごし、アパートへ戻って夕食をとった後、「疲れた」と言い残して早めに寝たそうです。しかし翌朝ベッドで亡くなっているのが見つかったのでした。遺体はスペイン当局が検死中ですが、事件性も自殺を思わせる痕跡もなく、突然死と見られています。

この事態に対し、BMWオラクルは5月27日(水)にバレンシアで追悼式を行いました。この追悼式には世界各地に散らばる全スタッフ、並びにニュージーランドの遺族が電話回線を通して参加したということです。追悼式でラッセル・クーツは「全く予期せぬ出来事であると同時に、彼は多くのチームメンバーにとって非常に親しい存在でもあったから、とてつもない悲しみに暮れている。」と語っています。ニュージーランド・ヘラルド紙によれば、クーツやジェームス・スピットヒルを始めとする4名が、葬儀の為ニュージーランドへ送られるウォールバックの遺体に同行するということです。

一方チームスタッフの大量解雇に関し、同じくニュージーランド・ヘラルド紙が解説記事を掲載しています。これによると、2艇目のマルチハル建造が今回の大量解雇の一因であり、アリンギの開催地選択の動きがこの事態の引き金となっていると分析しています。以下にその概要を記します。

New Zealand Herald: Kiwis hit by BMW Oracle layoffs

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一方で巨額な資金を投入してマルチハル艇を建造しながら、もう一方ではスタッフを解雇する - そんな矛盾もアメリカスカップの現実である。

2010年2月に開催されるマルチハル艇対決にむけ、BMWオラクルはバレンシアベースにおいて更なるコスト削減策を実施した。その結果、2011年までは開催されないと見られる従来のモノハル艇による大会に関わるスタッフへ影響が及ぶ事態となった。

18名が解雇されたという情報がある一方で、BMWオラクルの広報は正確な人数でないことを謝りつつ、8 - 9名が解雇されたと伝えた。

その内の1名が解雇直後にバレンシアのアパートで死亡したフィジカルトレーナー、ポール・ウォールバックである。

また北京オリンピックのニュージーランド代表であり、スター級の元世界チャンピオンであるカール・ウィリアムスも、主に今回の人員削減の対象となった陸上スタッフの一人として解雇された。ウィリアムスは現在ボルボ・オーシャンレースに参加中だが、この結果サイクリングに転向するかもしれないと語っている。

その他のキウィたちが解雇の対象となっているかどうかは判明していないが、可能性は充分にある。2007年の前回アメリカスカップの際、BMWオラクルには17名のキウィセーラーが所属していた。その頃と状況は変わっているが、依然セーリングチームと陸上チームの両方に多くのニュージーランド人スタッフが所属している。

実際のところ、BMWオラクルとエミレーツ・チームニュージーランドだけが依然活動を継続しているカップシンジゲートであり、モノハル艇による従来通りのアメリカスカップが開催されるまで他のシンジゲートはいずれも休眠状態にある。

チーム・ニュージーランドもまた人員削減を余儀なくされている。この冬(註:南半球のことです)ヨーロッパで開催されているメッドカップに参加するセーラーたちも一旦解雇された後、日給ベースで再雇用されている。

一方、全てが従来どおりに戻る前、カップ保持者アリンギとオラクルによるビッグボートでの対決が行われることになっている。

これが先行きを不明確にしている一因だ。なぜならオラクルは「BOR90」という正式名称があるにも関わらず、往々にして「ドジラ(Dogzilla)」と呼ばれる90フィートのロケットボートを建造しテストを重ねてきたのに加え、今度は新たな巨大マルチハル艇を建造中だからである。ちなみに「BOR90」は20ノットの風を受け40ノットで快走するという驚くべき性能を示している。

「BOR90」のような巨大ボートを建造するには15億円程度が掛かるといわれており、本当に2号艇を建造する必要があるのか疑問視されているが、エミレーツ・チーム・ニュージーランドのボス、グラント・ダルトンは、プロトタイプでの学習を経て2号艇を建造することは、資金的に許される限り常識的なアプローチであると語っている。

一方でアリンギはバレンシア以外の開催地を選択するであろうというウワサが絶えない。実際には公式なデッドラインである8月まで公表されないだろうが、ドバイやアブダビといった中東で開催されるのではないかとウワサされているのである。そして、これらの地域では「ドジラ」が得意とする風域よりずっと風が弱いのだ。

ダルトンは、アリンギがより軽風地域を開催地として選ぶ場合を想定して、オラクルが2号艇を建造している可能性があると語っている。

「本当に新艇を建造している可能性もあるけど、私はむしろリグの改造をしているじゃないかと思っている。とはいえ、もし彼らが軽風用の新艇を建造しているなら、ウィングを装備したボートになるんじゃないかな。その方があらゆる風域に対して柔軟に対応できるからね。」

アリンギがどこを開催地として選ぶかによっては、バレンシアか南半球を開催地として指示したと解釈されているニューヨーク州最高裁判所の決定に背くことになるのではないかという心配の声も上がっている。

しかし、この結果アリンギとオラクルが更なる法廷対決に及ぶとしても、来年2月という開催日程は堅持されるだろうとダルトンは見ている。アリンギが時間稼ぎの戦術に出ていることを同裁判所は充分認識しているからである。よって、もしアリンギが中東を開催地として選んだ場合、彼ら自身の信用を失う結果となるだろうとダルトンは語っている。

「来年2月の対決に向け、既にアリンギはオラクルより出遅れている。」ダルトンは続けた。

「その上もしアリンギが自分達に有利な開催地を選ぼうと画策し、それに失敗したら、彼らにとって事態はさらに悪化することになるだろう。これはしっぺ返しを喰らうかもしれないハイリスクなゲームだよ。」

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