« ライン7の経営再建方針決まる。 | トップページ | ルイヴィトン・トロフィーの公式サイトオープン »

2009年10月20日 (火)

来たくないなら来なくていい。ウチはよそとやる。- アリンギ

去る10月17日アリンギは報道関係者を中東ラアス・アル・ハイマ(RAK)のチームベースに招待し、同チームの防衛艇「アリンギ5」の現地における帆走トレーニングの模様を公開すると共に記者会見を開催し、中東での第33回アメリカスカップ開催に対する意気込みを改めて表明しました。

Alinghi: Alinghi begins training in Ras Al Khaimah, 33rd America’s Cup Venue

上記アリンギ公式サイトによると、チームオーナー兼代表のエルネスト・ベルタレリは、

「BMWオラクルの主張はハリウッド映画の予告編のような断片的な話に過ぎません。世界で消費される40%原油がホルムズ海峡を通過していること、また過去10年の間に世界で最も発展を遂げたこの地域へ供給される物資も同海峡を通過していることを、彼らも認識すべきです。大体もしこの海域が本当に危険であるなら、もっと問題となっているはずですよ。だから、BMWオラクルのみなさん、ごちゃごちゃ言ってないで、早く来てヨットに乗りましょうよ!」

と語ったということです。

また、このプレスデーに参加したバレンシアセーリングが、防衛艇「アリンギ5」の帆走の模様、さらに現地で進められているインフラ整備の模様を下記の如くレポートしています。

Valencia Sailing: Alinghi press conference in Ras Al Khaimah - First Alinghi 5 sail

この記事によると、当日は4~7ノットという微風コンディションであり、「アリンギ5」も片ハルを浮かせる滑空状態には至らなかったにも拘らず、15ノット(!)で滑るように走っていたということです。チームによると、このプレスデーの前日は11ノットまで風が上がり、「アリンギ5」は20ノットをマークしたとのことです。

(帆走準備に入る「アリンギ5」の姿をバレンシアセーリングが YouTube にアップしていますので、ご紹介しておきます。)

また同じくバレンシアセーリングは、現地のコンディションに関し、なかなか興味深い情報を紹介しています。

  • ラアス・アル・ハイマの典型的な風のパターンは、午前11時ごろから海陸風が入り始め、午後1~2時ごろがピーク。(2月の場合、最大で7~12ノット程度)
  • 風向は南西から始まり、午後へ掛け右方向へシフトする傾向。
  • コースは南北に走っている海岸線に沿って設定される。
  • バレンシアとの最大の違いは水深と潮位。RAKはより浅く、干満差も約1m。
  • 最低水深を規定した贈与証書に準拠するため、スタートラインは沖合い4~5マイルとなる。(ドバイの場合、沖合い30マイルまで出ても水深は30m以下)
  • 環礁内は最低水深4.2m、海までの水路は水深5m。
  • 水深が浅い結果、水温は地中海より高く、これが海陸風にも影響する。
  • この日の水温は25~27℃。9月では35℃まで上がる。
  • 水温が高く、陸地との温度差が小さいため、海陸風は強くならない。
  • しかし、クリスマス後は水温が大幅に下がるため、安定した海陸風が得られる。(7月のバレンシアと同等)
  • 波は殆どなく、2~3日強風が続いたとしても最大1.5m。
  • 唯一の懸念は「シャマル」と呼ばれる最大35ノットに達する非常に強い北西風。
  • 「シャマル」は夏に起こることが多いが、冬でも起こりえる。その場合、約3日も吹き続ける。

一方、同じくこのプレスデーに参加したAPが、下記レポートを配信しています。

AP: America's Cup: No way to force US team to Gulf

このレポートの中で、エルネスト・ベルタレリはAPに対し、

「もしアメリカチームがRAKへ来たくないというなら、我々としても無理強いすることはできない。」

「次回アメリカスカップをさらに延期するということはありえない。我々はRAKと約束をしている。我々は2月開催に向けた準備が出来ているんだ。」

「ここラアス・アル・ハイマへ喜んでやってくるチームは、間違いなく他にも沢山いる。だから、もしオラクルが来ないなら、他チームに門戸を開くべきかと考えている。」

と語っています。

既にお伝えしたとおり、BMWオラクル側は現在のカップ保持者でアリンギの母体でもあるソシエテ・ノーティーク・ドゥ・ジュネーブ(SNG)が開催地の変更に応じない場合、SNGはカップ保持者として不適格であると言う新たな訴えをニューヨーク州最高裁へ起こすとほのめかしています。

今回のベルタレリの発言は、このオラクル側の行動に対するけん制とも受け取れます。実際ベルタレリの求めに応じ、RAKへやってくるヨットクラブはいくらでもいるでしょう(特にヨーロッパから)。アリンギにとっては、2月にアメリカスカップをRAKで開催することが重要なのであって、別に挑戦者側が巨大なハイテクマルチハルを持っていようがいまいが、全く関係ないのです。よって、適当な挑戦者を選び、対戦をさっさと済ませ、改めて第34回アメリカスカップの準備に入れるなら、それで良いのでしょう。

また、折角大金を掛けて建造した「アリンギ5」をたった一度の対戦でお蔵入りにしてしまうのが嫌なのか、ベルタレリは第34回アメリカスカップをマルチハルで開催することを考えているとも伝えられています。

Le Temps: Combat de coques (仏語)

一方、BMWオラクル側も着々と根回しを進めており、カリフォルニア州選出の下院議員を通し米議会まで動かそうとしています。

The Washington Post: Calif. congressman raises concerns about Cup port

さてさて、この先一体どういう方向へ進むことやら、まだ一筋縄では行きそうにありませんね・・・

|

« ライン7の経営再建方針決まる。 | トップページ | ルイヴィトン・トロフィーの公式サイトオープン »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 来たくないなら来なくていい。ウチはよそとやる。- アリンギ:

« ライン7の経営再建方針決まる。 | トップページ | ルイヴィトン・トロフィーの公式サイトオープン »