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2009年11月12日 (木)

アメリカスカップとハードウィングセイル - 1988年アメリカスカップ

昨日「BOR 90」が初めてサンディエゴ湾外へ出て、早くも片ハルを浮かせながらの帆走テストに入ったことをお伝えしましたが、その映像がBMWオラクルによって YouTube にアップされましたのでご紹介します。

さて、dragonさんから、1988年アメリカスカップについてコメントを頂きました。ご存知の方も多いと思いますが、1988年の第27回アメリカスカップは、突如として挑戦を表明したニュージーランドのマイケル・フェイと、前年オーストラリアからカップを奪回したばかりのデニス・コナーとの間で行われた対戦でした。

このときニュージーランドは「贈与証書」の文言を盾に巨大なモノハル艇での挑戦を表明します。これに対し、コナーも「贈与証書」の文言を盾に挑戦艇と全く異なるコンセプトのボート、即ち軽量コンパクトなカタマランで対抗します。

こうして生まれたのが、カタマラン版の「スターズ&ストライプス "US-1"」でした。

突然の挑戦を受けたコナーは、防衛艇の開発を効率良く進めるため、カタマランの専門家たちを自チームに招聘します。このとき含まれていたのが、7月3日付の当ブログ7月10日付の当ブログで登場したCクラスカタマランのエキスパート、ダンカン・マクレーンでした。

Cクラスカタマランでは非常に早い時期からハードウィングセイルが導入されていました。その効果を検証するため、コナーは2艇のカタマランを建造し、ひとつにソフトセイルを、もうひとつにハードセイルを搭載します。そのハードセイルの設計には、マクレーンの経験が生かされました。そして、最終的にコナーはハードセイル版を防衛艇として選び、サンディエゴ沖にてニュージーランドの「KZ-1」との対戦に望みます。結果はコナーの圧勝でした。

Stars_stripes_us1

1988年 第27回アメリカスカップにおけるカタマラン「スターズ&ストライプス "US-1"」 Photo Copyright: Bob Covarrubias Photography

従って、今回BMWオラクルがハードウィングセイルを挑戦艇に導入し、サンディエゴでテストを重ねていることは、1988年のアメリカスカップと不思議な因縁で結ばれているのかもしれません。

ただし、大きく異なるのは、そのデニス・コナーの勝利に大きく貢献したダンカン・マクレーンが、今回アリンギのテクニカルアドバイザーとして防衛艇「アリンギ5」の開発に深く関わっている点です。(11月5付当ブログでご紹介した YouTube 映像で、ダーク・クラマースと共にアリンギのサポートボートにのっているのがダンカン・マクレーンです。)

かつてアメリカのカップ防衛のため尽力したアメリカ人セイラーがスイスの防衛を助け、一方挑戦者となったアメリカチームの中核はニュージーランド人セイラーで占められているという現状をみると、アメリカスカップを国別対抗で語ることは、いまや全く意味がないということに改めて気付かされますネ。

(考えてみれば、アリンギのヘルムスはアメリカ人で、オラクルのヘルムス(「BOR 90」担当)はオーストラリア人です・・・)

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