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2009年11月20日 (金)

NY州裁判所 GGYCの訴えを認める & 「BOR 90」最新情報

去る11月6日ニューヨーク州最高裁判所において、ソシエテ・ノーティーク・ドゥ・ジュネーブ(SNG)/アリンギとゴールデンゲート・ヨットクラブ(GGYC)/BMWオラクルによる口頭弁論が行われ、結局その週末を掛けた当事者同士の協議、並びにSNG/GGYC双方の指名による陪審員の協議の結果を、週明け同裁判所のシャーリー・コーンライヒ判事へ提出することとなったことは、11月7日付の当ブログでもお伝えしました。

かぜのたより アメリカズカップ情報編: Have a nice weekend! - アメリカスカップの未来はこの週末に懸かっている

米国時間の11月19日コーンライヒ判事はこれらの協議結果を受けた新たな裁判所命令を公示しました。

Alinghi: Justice Kornrech's latest decision

これによると、

  • 満載水線長(LWL)の測定時はバラストも満載すること。
  • 開催地はバレンシアとする。
  • レース公示、帆走指示書はSNG/GGYC双方の合意の上、修正・決定される。合意不可能な場合はNY最高裁の監督下、陪審員の協議に委ねられる。
  • 審査委員会はISAFによって速やかに選任される。

ということが指示されています。

コーンライヒ判事はヨット競技の専門家による公平な意見を求めるため、グラハム・マッケンジー(ISAF評議員:SNG指名)、ブライアン・ウィリス(第32回アメリカスカップ審判委員長、元ISAF競技規則委員:GGYC指名)、デイビッド・ティレット(ISAF競技規則委員長:前記2名による指名)の3名からなる陪審を設置し、以下の5項目に関する意見書の提出を求めていました。

  1. アメリカスカップにおける満載水線長の計測方法について。(SNGによる可動式バラストを計測対象外とする主張を認めるか否か、カタマランとトリマランに対し同様な計測手順を取れるか否かも併せて審議)
  2. 2010年2月にバレンシア沖にてレースを開催する場合の安全性について。
  3. アメリカスカップの慣例上、レース公示やその他のルールはどのタイミングで公示されるべきかについて。(レース公示発表後のルール変更は可能か)
  4. アメリカスカップの慣例上、審査委員会は何時指名されるべきかについて。
  5. ISAFとSNGの契約は、独立し客観的な審査委員会を設置する妨げになるか。また審査委員会は如何なるルールに則り運営されるべきかについて。

今回発表された裁判所命令は、陪審員の意見をほぼ全面的に受け入れたものとなっています。

これに対し、SNGはフレッド・メイヤー(SNG副会長兼アメリカスカップ担当)、GGYCはトム・イーマン(BMWオラクル スポークスマン)のコメントを発表し、双方とも歓迎の意を表明しています。

Alinghi: Société Nautique de Genève statement following Justice Kornreich’s latest decision

GGYC: GGYC Statement Dated: Nov 19, 2009

本当のところ贈与証書は防衛者側に圧倒的な優位を認めていたわけですが、泥沼の法廷闘争の結果、NY州最高裁はルールの公平性に関しISAFの強い関与を求める決定を下したことになります。19世紀の産物である贈与証書は、21世紀の近代スポーツ事情に全く合っておらず、アメリカスカップの将来の為にも今回の決定は重要な意味をもつものと思います。(結果的にGGYC=ラッセル・クーツの主張が認められたとも言えます。)

ただし、バレンシアでの開催に対しSNG/アリンギは控訴していますので、これに関しては12月に予定されている控訴審での判決を待たねばなりません。

2年に渡る法廷闘争をスカトロバットで解説してきてくれたコリー・フリードマン弁護士によると、この控訴審はSNG/アリンギの意向というより、アメリカスカップ開催のインフラ整備の為120億円を注ぎ込んだラアス・アル・ハイマ側の意向が強く働いているようです。

Scuttlebutt News: Part 50 - AC litigation is back -- weirder than ever

オイルマネーを利用しようとしたツケが廻ってきたということでしょう。

さて、一方サンディエゴでテストが続けられているBMWオラクルの挑戦艇「BOR 90」ですが、11月18日初めてヘッドセイル(コードゼロとジェネーカー)をウィングセイルと組み合わせて帆走しました。

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Photo copyright Gilles Martin-Raget / BMW ORACLE Racing

BMW ORACLE Racing Blog: Chilly Days in the Land of the Endless Summer ...

同日のチームブログによると、ヘッドセイルとのマッチングも順調のようです。

さらに昨日11月19日はサンディエゴ湾内でタック・ジャイブを繰り返すテストを実施しました。

BMW ORACLE Racing Blog: Afternoon Spin on San Diego Bay ...

その模様がセーリング・アナーキーのメンバーにより撮影され、YouTubeにアップされているのでご紹介します。(セーリング・アナーキーの情報網は物凄く、最近すっかり当ブログのネタ元となっています

この巨大マルチハルによるマッチレースが一体どういったものになるのかに関するコメントをいただいていますが(お返事遅れてゴメンナサイ)、この連続タック/ジャイブテストはマッチレースでの操船、特にスタート前のマニューバリングを想定したものかもしれません。しかし、狭い湾内で片ハルを上げながら走り回るシーンは大迫力ですが、さぞ迷惑だったでしょう

巨大マルチハルによるマッチレースがどうなるかに関しては、以前エド・ベアードが興味深いコメントを残しており、当ブログでも昨年11月にご紹介していましたが、途中まで翻訳して放置していました。

かぜのたより アメリカズカップ情報編: エド・ベアード、アメリカスカップの今後について語る。その1

かぜのたより アメリカズカップ情報編: エド・ベアード、アメリカスカップの今後について語る。その2

既に1年以上前、しかもまだ防衛艇「アリンギ5」はおろか、挑戦艇「BOR 90」すら公開される前のインタビューですが、今読み返してみても非常に的確で綿密な分析がなされています。近日中に残りの部分もアップしたいと思いますので、しばしお待ちください。

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