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2010年1月31日 (日)

エド・ベアード、第33回アメリカスカップについて語る。

さて、このところ挑戦者BMWオラクルの話題が続いたので、今日は防衛者アリンギ側の話題をお伝えしましょう。

来週2月8日から始まる第33回アメリカスカップは、史上初めてマルチハル艇同士によって争われることになります。一世紀半に渡る歴史の中、1988年の大会においてデニス・コナーがカタマラン版「スターズ&ストライプス"US-1"」を使用したのが唯一の例外で、それ以外はずべてモノハル艇同士のマッチレースとして、アメリカスカップは行われてきました。また、その1988年大会も、対戦相手のニュージーランド「KZ-1」はモノハル艇であり、レース自体は「US-1」のワンサイドゲームで、全くマッチレースの体をなしていませんでした。

それでは、マルチハル同士、しかも今回のようなハイテクモンスター同士がマッチレースで対決したら一体どうなるのでしょうか?

そこで、まずSolid.comが作成した比較表をご覧ください。

Solid.com: BMW Oracle USA 17 vs Alinghi 5 Comparison Chart

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Copyright: Solid.com

「アリンギ5」も「USA」も正確な寸法は公表されていないため、これらの数値もあくまで推測値ですが、ともかく前回大会まで使用されていたACボートとの違い目を奪われます。全長は1.5倍、マスト高は1.5~2倍、全幅はもちろん比較にならず、セイルエリアに至っては3~4倍、その一方で、排水量はほぼ半分。そして何より違うのはボートスピードです。今回のモンスターたちは、風速が1/3しかなくても、ACボートの3倍のスピードを実現可能といわれているのです。また、この表にはありませんが、元来マルチハル艇はモノハル艇に比べ小回りが利かないという欠点もあります。

スピードレンジが従来と全く異なる一方で小回りが利かないというマルチハルの特性を考えると、今回の対戦は一体どんなマッチレースとなるのでしょうか?はたしてスタート前のサークリングやダイアルアップ、更にはタックの応酬という、我々がマッチレースで見慣れてきたシーンが繰り広げられ得るのでしょうか?

これに対し、既に一昨年のことですが、アリンギのヘルムス、エド・ベアードが、巨大マルチハルによるマッチレースがどのようなものになるかBYM ニュースの取材に応えた記事があります。

BYM News: Ed Baird talks about the DoG match

このインタビューは「アリンギ5」はおろか「USA (BOR 90)」すら姿を現していない2008年夏に行われたものです。そのような段階で、既に巨大マルチハル同士の対決に関し深い考察がなされており、今読み返しても全く陳腐化していません。

エド・ベアードは、J/24のセーリングクリニック等で度々来日しているため、日本でも"エドさん"としてお馴染みのセーラーです。私自身も2度程お会いしましたが、本当に思慮深い紳士という感じの人物であり、このインタビューも、そんな彼の性格がよく現れています。

多士済々のアリンギチームの中で、今回最終的に誰が「アリンギ5」のヘルムを取ることになるのか、まだ明らかにされていませんが、実際にモンスターマルチハルに乗り込み対決しなければならない者としての心情が読み取れる、非常に興味深いインタビューとなっていますので、是非ご覧ください。

(このインタビューは、元々2008年11月24日11月28日付の当ブログでお伝えしたものでしたが、途中まで翻訳したところで放置していました。今回未翻訳部分も合わせ完全版としてアップします。)

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アリンギヘルムス エド・ベアード Photo Copyright: Alinghi

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エド・ベアードは、アリンギのヘルムスマンとして第32回アメリカスカップに勝利し、2007年度ISAF年間最優秀セイラーに選ばれました。彼の国際的な成功は、1980年レーザーの世界チャンピオンになったことから始まり、1983年にはソリングとJ/24の世界チャンピオンとなりました。彼は1995~96年と2004~05年のISAF世界ランキング1位であり、また1995・2003・2004年にはマッチレースの世界チャンピオンとなっています。またベアードは世界中で様々なレースに出場しています。

BYMのマリアン・マルティンはフランス・イエールで開催されている i シェアーズカップに出場中のベアードに、BMWオラクルが逆転勝訴した場合実施されることになる贈与証書レース(通称DoGレース)に関しインタビューを行いました。

2008年 i シェアーズカップのワンシーン。この年はアリンギ、BMWオラクルに加え、チーム・オリジン等が参戦していた。

BYM: 90フィート・マルチハル艇でのタッキングに関し少し混乱があるのですが、ブラッド・バタワース(アリンギ)とジェームス・スピットヒル(BMWオラクル)はタックにおけるロスが大きいとしているのに対し、ロブ・グリーンハル(チーム・オリジン)はそんなことないとしています。あなたはどうお考えですか?

エド・ベアード(以下EB エクストリーム40(40フィート カタマラン)と比べると、うまくタックするのは難しいと思う。エクストリーム40はタック時も本当に素晴らしくロスも少ない。90フィートのマルチハルはもっとスピードが出るので、スピードを落とさずタックするのはより難しいだろう。

BYM: フランシス・ジョヨン(マルチハルヨットを使用した単独無寄港世界一周記録保持者)は、タックロスはさほど大きくなかったと言っていますが?

EB: そうだね。まだ誰もそんな大きなマルチハルで帆走したことはないけれど、もっとパワフルで強烈な帆走能力を持っているのは間違いない。でもマルチハルはあまり加速力に優れたボートじゃないんだ。元来そういうことが目的ではなくて、直線スピードを稼ぐことが得意なんだ。たからタックをするときはロスを、時には大きなロスをすることがある。

BYM: どういう状況のとき、タックを決断することになりますか?

EB: 相手のボートの前に居続けるか、相手の後ろから逃れる場合を考えてみてくれ。だからタックを迫られるケースは多々ありえる。もちろん大きな風のシフトが予想されるなら、それを戦略的に掴みに行くこともあるだろう。でも余程相手から離されて一発勝負に出なきゃならないとき以外は、相手ボートから離れるということはまずないだろう。

BYM: スピットヒルは、マッチレースであっても両艇は離れてしまうだろうと言っていますが?

EB: 僕がBYMの彼に対するインタビュー記事を読んだ時、アメリカスカップやマッチレースのサーキットに慣れ親しんできた者の感覚からかけ離れているという点において、彼は全く正しいと思った。しかし、前回のルイヴィトンカップやアメリカスカップにおいても2艇の距離が6~800メートル、時として1キロ以上離れてしまったケースのあることを思い出してくれ。で、今度のマルチハルがどうなるというと・・・艇速は今までの約3倍で、上り角度は悪い。だから一旦離れてしまうと、あっと言う間に大きく離れてしまうだろう。でも、ということは、逆に言えばあっという間に近づいてくるとも言える訳だ。しかし距離的には大きく離れてしまうこともあるので、ヘリから2艇を中継するのは大変かも知れないね。

BYM: 風上航レグに続いてリーチングのレグがあります。両艇が同時にジャイブマークに到達したら、どんなことになると思いますか?(註: 贈与証書の規定では、2日目のレースは一辺13マイルの正三角形であり、第1レグが風上航、第2マークは左回り60度という、きついジャイブマークとなる。)

EB: まあ、通常のルールが適応されるだろうね。即ちマークまで一定の距離に近づく前にクリア・アヘッドになっておかなきゃならない。さもなければ内側に水を開けてやらなきゃならないね。

BYM: それは、なんだか危険なことではないですか?

EB: 非常に危険なケースとなる可能性がある。経験したことがないだけに、間違いなく理解しておきたい部分のひとつだ。だから、偉そうなことを言っているけど、僕らとしても現段階ではっきりとわかっているわけではないんだ。

BYM: あなたはルールづくりに関与してきましたか?

EB: 少しは話したけど、もっと真剣に議論しなきゃいけないね。でも、僕らはもっぱら如何にしてマルチハル艇建造の遅れを取り戻すか、そしてもちろん、それをどう走らせるかということに専念してきた。今実際にマルチハル艇を走らせてみて、通常のマッチレースのルールはマルチハルに合わないこと、そこには議論の余地があることに気付き始めたところなんだ。

一般論として、マルチハル艇というのはルールに対してきっちりと対応できないところがある。もっと自由にあちこちカッ飛び走り回る、そんな類のボートなんだ。しかし、だからといって何でもアリというわけにもいかない。そんなことを許していたら、結局みんな自分たちの首を絞めることになりかねないからね。競技は安全でなきゃいけない。学生のレースやファー40のイベントとは違うんだから、考える以上に慎重にならなきゃね。

種類も様々であるマルチハル艇に対しては、厳格にセーリングのルールを適応することができないケースも多々あるんだ。なぜならボートが余りにも速い為、僕の長年の経験から言うと、きっちりとしたマークアプローチができなかったりする。だから2艇が接近してきた場合、権利を主張しあうというよりも、もっと互いに譲り合うといった感じになる。しかし、アメリカスカップの世界において、しかもたった2チームしか出場しない状況で、お互い譲り合うなんて言ってられないよね。ここはレースまでにきちんと整理しておかないといけないポイントの一つだ。

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アリンギの防衛艇「アリンギ5」 Photo Copyright: George Johns / Alinghi

BYM: エクストリーム40のスキッパーたちとランチを共にした際、BMWオラクルは軽風用と強風用の2艇を建造しているのではないかという話がでていました。あなたはそうだと思われますか?

EB: 僕らは報道されていることしか知らないから、わからないなぁ。BMWオラクルがどうしているのか本当に知りたいよ。数週間以内に彼らがどうしているかわかると思うけど、2艇を作っているかどうかは、全くわからないよ・・・ (註:このインタビューはBMWオラクルが「BOR 90 (USA)」を公開する前に取材された。)

BYM: 安全面はどうするつもりですか?

EB: 安全面はチームの皆が気にしていて、どうすべきか情報を入れてくれている。あの巨大マルチハル艇で帆走するとなると、パワフルでありながら加速能力に欠けるということを極めて保守的に加味しながらも、どういったところが危険なのかを早急に検証しなければならない。

もう一度、これはスピットヒルも言っていたことだけど、もしこのサイズの巨大ボートで大惨事がおこれば、チームの活動そのものが終焉を迎えることになるから、絶対避けなきゃならない。セールが破れたり、ブームが折れたり、マストが折れたり、ラダーが壊れたり等々といった事態はどんなボートでも起こりえるし、そうした場合でも安全面はなんとかなると思う。もっとも問題なのは、大概のレーサーが経験していることだけど、沈(転覆)した場合だ。沈は特にレーシング・カタマランやトリマランで起こる問題であり、オーバーパワー時に如何にしてパワーを抜くかを理解しておかなきゃいけない。”沈して学ぶ”という余裕はないからね。

(註:ベアード自身 i シェアーズカップのレース中、上記映像の如く沈を喫してリタイア、本人も負傷するいう苦い経験をしたことがある。)

BYM: なんだかアリンギ、オラクル双方ともスタートラインにすらつけないことすらありえるように思えてきました。だって、余りにわからないことだらけで、練習中にボートを潰してしまことだってありえますよね。

EB: そういうことはいつでも起こりえるさ。ACクラスが始まったころを思い出すと、サンディエゴやニュージーランドでのルイヴィトン・カップでは、ボートが壊れてスタートラインに現れないなんてことが多々あった。あのころは構造にしろ何にしろ、実験するにしても新しいことだらけで、詳しいことは誰にもわかっていなかったんだ。だからアプローチの仕方次第では、あんな事態が起こりえたわけだ。今回はアリンギ、BMWオラクル両チームとも、充分に帆走テストを行えるだけの時間が欲しいね。だって、全てのセーラーが自分達のボートの機能をよく理解できていないと良いイベントにはならないからね。

BYM: 通常のアメリカスカップ同様に、スタートも重要なもととなるでしょうか?それともボートがあまりに速すぎて、さほど問題とはならないでしょうか?

EB: スタートで先行できれば、いつもあとのレースを楽に進めることができるのは確かさ。でも私が思うに、レースコースが長い場合決定的に変わってくるのは、ボートスピードの方がよっぽど重要になってくるということだ。

そのひとつの理由として、第32回アメリカスカップでは出来るだけ接近戦になるようなレース設定をした。だから、よほどの軽風でない限り、ウェザーマークでは両艇がいつも接近していたはずだ。ここでもう一度92年や95年、2000年のアメリカスカップを思い出してみると、絶えず両艇の間には大きな差がついていた。フィニッシュラインでいつも3~4分という大差がね。でも前回のアメリカスカップでは接近戦が展開され、何と30~40秒しか差がつかなかった。多くの人が言うように、ACクラスが熟成されボートの性能差がなくなってきたことも大きな要因だが、単にそれだけじゃない。殆どの場合8~14ノットでレースが行われた風域も重要な要因だったし、長すぎない範囲で設定されたコース長も影響していた。しかし、1レグ20マイルのコースで争うとなると、俄然スタートはレース全体から見て、マイナーな存在となってしまう(註: 贈与証書の規定では、1日目と3日目は片道20マイルのソーセージコース)。

BYM: フランシス・ジョヨンは、大きいボートが必ずしも速いとは限らないと語っていますが、これに関してはどうお考えですか?

EB: もう一度、これも争点のひとつだ。どういうボートを造るか?一体どういう事態に直面することになるのか、僕ら自信も余りわかってはいないんだ。だから何が出来るのか、そこから何を追及していかなければならないか、ある程度推測で進むしかない。

BYM: 全長90フィート全幅90フィートというのは、特にレース艇として常識はずれなサイズではありませんか?

EB: そうだね(笑)、正にその通りだ。

BYM: ということは、BMWオラクルの挑戦艇は、グルーパマ 2(Transat Jacques Vabre 2007 で優勝したトリマラン)の拡大版のようなボートになると思われますか?

EB: 僕らには良くわからない。一日中あれこれ想像することはできるけど、往々にして誤った方向に進んでしまうからね。

BYM: 防衛艇はいつ頃進水される予定ですか?

EB: 僕にはわからない。スイスにいるスタッフが建造を進めているから、帆走可能になったら僕にも教えてくれると思うよ。

BYM: ジミー・スピットヒルとの会話の中で、マキシ・マルチハルであるG-クラスは往々にしてどこかが壊れ、その都度改修のためヤードに戻らなければならないことが話題に上がりました。そういったことが、防衛艇にも起こりえるのではないでしょうか?

EB: そうだね。今まで誰もやったことがないことをしようとしているのだから、何をするにしても大きなリスクが存在している。双方のチームには最高の仕事をしてくれる優れたデザイナーとビルダーがいる。でも、僕らは今まで誰も経験したことがない領域に踏み込もうとしているんだ。確かに世界一周レースに出場する大型カタマランやトリマランは同じようなサイズだった。しかし、あの手のボートはリーチングやランニングでスピードを稼げるよう設計されていた。だが、僕らが必要としているのは、もっと効率よくアップウィンドで走れるボートであり、決して外洋を走るようなボートじゃないんだ。

BYM: あなた自身は今回の対戦に楽しみにされていますか?

EB: これから起こることは非常に歴史的なことだと思うと、本当にワクワクしているよ。なぜなら、防衛艇も挑戦艇も誰もこれまで見たことがないようなボートになるからね。だからとってもワクワクしている。しかし、同時に正しくきちんと進められるかどうかを心配している。みんなで賢く進め、最後には勝ちたいね。

BYM: あなた自身これまでにマルチハルでのレース経験はどれほどおありですか?

EB: 90年代の初めごろ、アメリカでホビー21を使ったプロサーキットに参加したことがある。ホビー21はとても基本的なワンメイクボートで、エクストリーム40と同様ジェネーカーとジブがあったけど、これほどまでにパワフルでエキサイティングなボートじゃなかった。大体8~9戦で各地を転戦したから、とても楽しかったよ。その意味では今の i シェアーズカップと余り大差なかったけど、唯一の違いは大抵の場合ビーチからボートを出したことかな。そして、ビーチで立ち見している観客たちの前でレースして、レースが終わると再びビーチに乗り上げてボートを引っ張り上げたんだよ。今までのところ、ほとんどこれが全てかな。

BYM: アリンギは、モノハル艇を使用し複数チームが参加する形で第33大会を開催したいと考えているようですが、セーラーとしてどういった形の大会が一番面白いと思われますか?また、もしこのままマルチハルでの対決へ進むとしたら、どういうことをしたいとお考えですか?

EB: 前回のアメリカスカップへ向けてのプロセスは本当に面白かった。ボートの開発を進め、どうやってレースをするかを毎日少しずつステップアップしていくのが、いつも楽しかったよ。今回も僕らはマルチハルで同じことをしているわけだけど、一歩一歩のステップがもっと大きくなっている。だって、僕らには学ばなければならないことが、まだ沢山あるからね。もしBMWオラクルがマルチハルでの挑戦を言い出さなければ、i シェアーズカップに参戦することにはならなかったかもしれないけど、結局のところ、いつもと違うタイプのボートを使うだけで、プロセス自体は同じなんだ。丁度モータースポーツの世界で偉大なドライバーは、どのカテゴリーでも素晴らしいレースをするのと同じようなもんさ。ただ、そんな彼らでも新しいカテゴリーで頂点に到達するのには、少しばかり時間がかかるだろ。だから、僕らはできるだけ短時間で頂点に立てるよう、ショートカットしていかなくちゃならない。

BYM: 最後に前回大会である2007年の第32回アメリカスカップについて教えてください。あの大会で使用されたアリンギのSUI100は、挑戦者セレクションシリーズに出場できないという不利な条件にもかかわらず、他チームよりずっとエミレーツ・チーム・ニュージーランドの船と対等に闘うことができていました。その秘密について教えていただけますか?またACクラスはこれで終焉を迎えることになるのでしょうか?

EB: それには幾つかの要因があると思う。開発チームが素晴らしいボートを造り上げたのもあるし、それを走らせたセーリングチームも素晴らしかった。装備の機能は完璧だったし、セイルも素晴らしい出来だった。チームの全員が求められる以上の仕事をし、困難に直面しても、可能性がある限りはあきらめなかったことが結果につながったんだ。

BYM: ということは、大きな秘密はなかった?

EB: いやいや、そんなものは全くなかったよ。大体において、前回大会を闘ったチームは、どこもそれまでになく上手にボートを操っていた。第32回アメリカスカップで各チームのAC艇のスピードに大差がなかったのは、ACクラスが成熟された為だと誤解されている。確かにそういった部分もあるし、ACボートのクラスルールがバージョン4から5へ改訂されたことが効いているのも事実だ。しかし、最終的にボートの性能が非常に接近した最も大きな要因は、各チームがルイヴィトン・アクトを通して対戦してきたことにある。

最後に駆け込みで参加したチームや決して有力ではなかったチームも含め、各チームはルイヴィトン・アクトへの参加を通して、自身のボートに対する理解を深めていったんだ。その為、第32回大会を通して非常に接近した対戦が繰り広げられる結果となった。例え参加を強いられたとしても、結果的にルイヴィトン・アクトは各チームにとって、アメリカスカップ本戦へ向けた最良の準備期間となったんだ。アメリカスカップに参加するチームが、これほどにまで海上での時間を割き、本物のレースを通じて練習を積むということは、未だかつてなかった。だから、過去のアメリカスカップで見られたように、スタートラインでボートが壊れたり、装備が故障したり、ミスジャッジが下されたりといった馬鹿げた失敗がなかったんだ。

こうして毎日の積み重ねをきっちりとこなしてきた2チームが最終的にカップを懸けて対戦したという訳で、その一翼を担えたことはこの上ない喜びだったよ。

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最後に、このインタビューも含め、いつも素晴らしい情報を提供し続けてきてくれたBYMニュース代表マリアン・マルティン女史は、昨年11月18日心臓発作のため急逝したことを付記しておきます。

BYM Sailing & Sports News: Marian Martin 1941- 2009

遅ればせながら、心よりご冥福をお祈りしたいと思います。

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コメント

どのような戦いになるのか楽しみです。
これだけレグが長いとTV観戦がベストでしょうね。

しかしこれだけボートスピードが速いと、ブランケットコーンが非常に狭くなるでしょうから、相手の風を奪い、それを避けといったような通常の展開には間違いなくなりません。

ちょっと避けるだけで簡単に影響を抜けるはずです。

さらに言えば、ダウンウィンドでも風は前から来ますからね…。
後ろから風を奪うといった事にはなりませんね。

そういった意味では全く異なるレースに見えると思います。

されどヨットレース

結局は速く上手に走れるチームが勝つ事には変わりは無いでしょう。 レース後の法廷闘争で泥沼になり次回大会に影響が出ない事を祈るしかなさそうです。

投稿: Yasu | 2010年2月 1日 (月) 06時58分

>Yasuさん

なるほど、相手の風を奪うという展開にはならないわけですね。

こうなると、ヨーイ、ドン!のスピードレースという感じでしょうか?

そういう意味では、見ている側からすると味気ないレースになるのかも。

でも、乗っている側は必死ですから、どっちも応援してあげたくなります。

しかし、展開的にいうと、一旦差が付いたら逆転は難しそうですね。

投稿: とんべえ | 2010年2月 2日 (火) 05時05分

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