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2010年1月21日 (木)

「アリンギ5」と「USA」、ついに相見える。

去る1月19日(火)第33回アメリカスカップに挑戦するBMWオラクルの挑戦艇「BOR 90」が「USA」に改称され、バレンシアでの帆走を開始したことは同日付の当ブログでもお伝えしたとおりです。

翌20日(水)は強風が吹き荒れたため、BMWオラクルは折角設置したハードウィングセイルを取り外し、テントへ格納しました。一方の防衛艇「アリンギ5」も同様にマストを外し強風に備えたため、結局この日はアリンギ、BMWオラクルともに帆走中止となりました。

その代わり、アリンギ、BMWオラクル双方ともメディアをチームベースへ招待するオープンデーとなりました。

Alinghi: countdown to the 33rd America's Cup

BMW ORACLE Racing Blog: Russell Coutts speaks out

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Photo Copyright: Luca Butto'/Alinghi

いつも現地から情報を提供してくれているバレンシア・セーリングのピエール・オルファニディスは双方に参加し、数多くの貴重なショットをアップしています。(詳細は以下のリンクをご参照ください)

Valencia Sailing: Alinghi media day - Valencia - 20 January 2010

Valencia Sailing: Russell Coutts takes his gloves off in Valencia

アリンギのベースでは防衛艇「アリンギ5」へ間近に迫り、またエド・ベアードを始めとするチームスタッフから非常に興味深い話を聞けたということですが、しかし、オルファニディスにとって最も印象に残ったのは、どうやらBMWオラクルの方だったようです。というのも、BMWオラクルのCEO、ラッセル・クーツが報道陣を前にして、珍しく怒りをぶちまけたのでした。

ことのきっかけは、この日最初に行われたアリンギのオープンデーで、エルネスト・ベルタレリとブラッド・バタワースが、BMWオラクルによる9度目の提訴に関し「スポーツらしからぬ」と非難したことにあったようです。

これに対しクーツは、「まともなルールの下で争おうとしているだけだ」としつつ、初めてエルネスト・ベルタレリの名前を具体的に出して、アリンギの対応を激しく非難しました。特にクーツが許せないのは、この2年半に及ぶ両チームの争いの中でBMWオラクル側は決して特定の人物を個人攻撃しないよう努めてきたのに対し、アリンギ側が公式サイトのカートゥーンコーナーで、ラリー・エリソンやクーツらを茶化した風刺画を掲載し続けていることだそうです。

このカートゥーンコーナーのイラストを担当しているマーク・オブライエンは、皮肉なことにニュージーランドのイラストレーターで、元々アメリカスカップを題材にした風刺画を描いていました。(彼のホームページへのリンクは以下のとおりです。)

Cartoons Caricatures and Characters by Mark O'Brien

ところが、数年前よりアリンギのお抱えイラストレータのような立場となり、BMWオラクルを茶化したイラストを次々と発表してきました。

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Copyright: Mark O'Brien/Alinghi

確かにフリーの頃のイラストは非常にウィットに富んでいて、ブログ主とんべえもお気に入りでしたが、アリンギ専属となって以来、偏った内容の作品が多いのも事実です。特に最近はこんなブラックなのも混じるようになってきました。

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Copyright: Mark O'Brien/Alinghi

特にクーツの怒りを招いたのは、この作品でしょう。

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Copyright: Mark O'Brien/Alinghi

つまりクーツはエリソンのパペットで、うそつきピノキオだというのです。さすがのクーツもこれには堪忍袋の緒が切れて、今回の事態に至ったものと思われます。

さて、今回クーツに名指しで非難されたアリンギとオブライエンですが、クーツの怒りに臆するでもなく、翌日にはこんなイラストをチームの公式サイトにアップしています。

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「個人攻撃じゃない、個人攻撃じゃない、個人攻撃じゃない!!」 Copyright: Mark O'Brien/Alinghi

ま、こうなると子供のケンカ以下ですねぇ。。。

さて、明けて1月21日はコンディションも回復し、アリンギ、BMWオラクルとも早朝から出艇、防衛艇「アリンギ5」と挑戦艇「USA」が初めて海上で相見えることになりました。

Alinghi: Early rise for Alinghi 5

BMW ORACLE Racing Blog: Sailing in VLC - day two

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Photo Copyright: George Johns/Alinghi

どちらも全力帆走には程遠いとはいえ、両チームのモンスターマルチハルが初めて同じ海面に姿を現しました。とにかくこのショットをご覧ください。なんともSFチックと言うか、どこかしら現実離れした印象を受けます。

さて、この後両艇は離れ、それぞれのテストに入りました。

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Photo Copyright: Luca Butto'/Alinghi

特にBMWオラクルの「USA」は、バレンシアとしては、初めてヘッドセイルを上げての帆走となりました。

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Photo Copyright: Gilles Martin-Raget/BMW ORACLE Racing

ハードウィングには、昨年オラクルが買収したサン・マイクロシステムズのロゴが追加されています。エリソンにとっては宣伝材料であることも事実でしょう。

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Photo Copyright: Gilles Martin-Raget/BMW ORACLE Racing

カンチングマストも順調に機能しているようです。

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Photo Copyright: Gilles Martin-Raget/BMW ORACLE Racing

例の"顔"もちょっと改造されています。

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Photo Copyright: Gilles Martin-Raget/BMW ORACLE Racing

別に贔屓するわけではありませんが、こうやって写真を並べると、やはり「USA」の方がフォトジェニックです。セーリングアナーキーのACフォーラムにも「A5 is boring (アリンギ5は退屈なボートだ)」というスレッドが立っていますが、残念ながらそのとおりです。

ともかく何れもユニークな防衛艇と挑戦艇が、対戦まで2週間半どういった話題を提供してくれるか楽しみです。

さて、先日もお伝えした、ソシエテ・ノーティーク・ドゥ・ジュネーブ(SNG:アリンギの所属母体)が発表したレース公示と帆走指示書ですが、BMWオラクルはその内容に対し異議を唱えています。それについては、また改めてお伝えします。

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コメント

どうでもいいことなのですが、「あいまみえる」は「相見える」と書きます。
ほんとうにどうでもいいことでもうしわけないのですが、ちょっと気になってしまったもので…。
いつも情報をありがとうございます。頼りにしています。

投稿: KJ | 2010年1月23日 (土) 08時42分

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