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2010年2月 2日 (火)

She can sail in gusty winds. アリンギ5も強風OK!

来週2月8日からスペイン・バレンシアで開催される第33回アメリカスカップは、公式サイトが立ち上がると共に史上初となるウェブでの無料ライブ放送が決まるなど、法廷闘争による2年半の空白期間を埋めるかのごとく、開幕日まで1週間を切って慌てて走り始めたような印象を受けます(法廷沙汰が終結したわけではありませんが・・・)。

これまた史上初となる巨大マルチハル同士の対決へ向け、中東ラアス・アル・ハイマで調整を続けてきたアリンギの防衛艇「アリンギ5」、及び米国サンディエゴで調整を続けてきたBMWオラクルの挑戦艇「USA (旧称BOR 90)」も、各々1月上旬に現地入りし、最終テストに余念がありません。

当ブログでも再三お伝えしてきたとおり、史上最大のハードウィングセイルを装備する「USA」は、現地入りしてからウィングを更に大型化し、風速5~6ノット(約3m)という軽風下でも25ノット以上のボートスピードをマークする一方で、20ノット以上の強風下でも安定した走りを見せるなど、極めて優れた帆走性能を示しています。

元々強風仕様といわれていた「USA」が、軽風下でも俊足を見せている理由のひとつに、バレンシアに入ってから導入された「表面摩擦改良システム」があるといわれています。それが具体的にどういったものなのか、BMWオラクルは明言を避けていますが、どうやらハルに開けられた小さな孔から特殊なケミカルか何かを流しているものと推測されています。

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Photo Copyright: Gilles Martin-Raget/BMW ORACLE Racing

解りにくいですが、「O」と「R」の間から下に向かって小さな孔が縦に並んでいるのがご覧いただけるでしょうか?ここから何らかのケミカルが流されているのではないかとウワサされているのです。下はサンディエゴにおけるテスト最終日の写真ですが、このような孔は存在していませんでした。

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Photo Copyright: Kazenotayori

本来ケミカルを使用して摩擦抵抗を低減することはISAFのセーリング競技規則 RRS 53 に違反する行為なのですが、エンジンや可動式ウォーターバラストの使用を目的として、アリンギがRRS 49~54 を適用外とすることをニューヨーク州最高裁判所へ認めさせたため、ルール的には問題なくなったという主張をBMWオラクルはしています。

GGYC: Statement on Jury Redress Request re: Friction Reduction System

「アリンギ5」のエンジン搭載が認められた瞬間から、もはや何でもありとなってしまったかのようです。しかし、もしアリンギが負けた場合、このオラクルの秘密兵器も抗議対象となり、後々揉める原因となるかもしれません。

さて、一方元々世界でも有数の軽風地域である中東ラアス・アル・ハイマでの対戦を想定して建造された軽風スペシャル「アリンギ5」ですが、強風でも侮れない性能を有していることを証明しました。

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Photo Copyright: George Johns/Alinghi

セーリングアナーキーのACフォーラムに寄せられた情報によると、1月31日(日)現地バレンシアはときおり20ノット以上のブローが入るコンディションとなり、結局「USA」は出艇しませんでしたが、一方で「アリンギ5」はそれまでより小型のジブを上げ、強風下でも危なげない帆走能力を披露したということです。

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Photo Copyright: George Johns/Alinghi

1月14日付の当ブログでもお伝えしたとおり、シンガポールで行われたアリンギ、BMWオラクルの直接会談が決裂した結果、現在BMWオラクルはアリンギが発表したレース公示、並びに帆走指示書の内容について、異議申し立てを行っており、ISAFが本大会のため指名した国際ジュリー団による審問がバレンシア時間の本日午後7時より行われる予定となっています。

審問の結果が発表され次第、当ブログでもお伝えしたいと思いますが、問題となっている事項の一つに、「風速15ノット以上、波高1メートル以上の場合はレースを行わない」としたレース公示の条項が含まれています。

今回「アリンギ5」が20ノットオーバーのコンディション下でも問題なく帆走して見せたことにより、BMWオラクル側は当てが外れた形になっているかもしれません。逆にアリンギからすると強風下でのテストはもちろん、審問を前にしたパフォーマンスの意味合いもあったのかもしれません。カップを懸けた駆け引きは、既に始まっていると言えます。

さて、昨日2月1日は一転して好天に恵まれ、「アリンギ5」「USA」共にバレンシア沖での調整を行いました。

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Photo Copyright: George Johns/Alinghi

こうやって同じ海域を2つのモンスターマルチハルが行きかう姿を見ると、本当に対戦が近づいているのを実感します。

「アリンギ5」「USA」共にエンジンを搭載した際、同じく可動式ウォーターバラストも搭載しています。この可動式ウォーターバラストの搭載以来、余りクルーの動きがみられなかった「USA」でしたが、昨日は写真の如くクルーが風上側のアマで並んでハイクアウトする姿が見られました。

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Photo Copyright: Gilles Martin-Raget/BMW ORACLE Racing

もしかすると、可動式バラストに頼らない何かを試しているのかもしれません。

何かと興味が尽かない「USA」です。

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