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2010年2月 5日 (金)

What color is the wind? BMWオラクルのウィンド・ディテクター(風検出装置)

本日2月5日、現地バレンシアは20ノット近い風が吹いているのに加え、明日計測が予定されているため、防衛艇「アリンギ5」、挑戦艇「USA」ともに上架され、最終整備を受けています。

また、各国からのメディアも続々と現地入りし、現地からのレポートがウェブを通じ配信されています。特にYouTubeが普及したお陰で、貴重な現地映像が居ながらにして見られるのは有難いことです。

下は、イギリスのYachting World誌が昨日YouTubeにアップした「USA」のセーリング映像です。

ピュアレーシングボートなので、ライフラインがないのはわかりますが、ビルの3~4階に相当する高さで、しかも20~30ノットで走るボートの上を移動しなければならないクルーも大変です。

Wingday6_0598

Photo Copyright: Gilles Martin-Raget/BMW ORACLE Racing

もともと左右のアマとヴァカ(センターハル)の間にはネットが展開されていたのですが、「アリンギ5」に対抗するためエンジン、パワーウィンチ、可動式ウォーターバラストを搭載した際、ネットはヴァカ周りだけに限定されてしまいました。よって、アマへ移動するには前後ビームを這って行くしかありません。恐ろし~

一方、BMWオラクルが「USA」に搭載した2つの秘密兵器「表面摩擦改良システム」と「ウィンド・ディテクター(風検出装置)」に関し、少し補足です。

まず「表面摩擦改良システム」は、ハルに開けられた小さな穴からケミカルを流し、ハルと水との摩擦抵抗を低減するというシステムで、2月2日と2月3日の当ブログでもお伝えしたとおり、本来ISAFのRRS 53に違反しているものです。

しかし、防衛艇「アリンギ5」にクルーワークの補助と可動式ウォーターバラストの動力源とすることを目的としたエンジンの搭載を可能とするため、アリンギはRRS 49~54を第33回アメリカスカップのルールから除外することを、ニューヨーク州最高裁判所に認めさせています。

従って、今回のアメリカスカップにはRRS 53は適用されないはずだったのですが、1月末に本大会の主催者であるソシエテ・ノーティーク・ドゥ・ジュネーブ(アリンギの所属母体)が発表した修正版レース公示において、突如としてRRS 53が復活していました。

そこで、BMWオラクルは抗議を行い、インターナショナル・ジュリー(IJ)の審問が開かれたのは既にお伝えしたとおりです。

審問録によれば、その際IJはRRS 53は適用外であることを再確認しましたが、今度はアリンギが「ゴミを海に投棄してはいけない」という帆走指示書の24条に違反していると抗議しました。これに対しBMWオラクルは、使用しているケミカルは環境に何ら悪影響を与えるものではなく、また米・スペイン両国の環境法にも準拠したものだと抗弁し、結局IJは使用を認める判定を下したということです。なんだかギャグですね。

もう一方の秘密兵器「ウィンド・ディテクター(風検出装置)」に関しては、先週1月25日バレンシア・セーリングが詳しくレポートしています。

Valencia Sailing: Closer look at Racer's Edge, BMW Oracle's cutting edge wind measurement device

バレンシア・セーリングによると、このデバイスはCatch the Wind, Inc.という米国のベンチャー企業が開発したもので、レーザードップラー速度測定法(Laser Doppler Velocimetry: LDV)の原理を利用し、風を可視化する装置であるということです。登録商標は「レーサーズ・エッジ(Racer's Edge)」。

Racersedge_productinfo

具体的には風速と風向の両方を測定することが可能で、測定誤差は風速±0.5ノット、風向±2度。また、測定レンジは400m、700m、1,000mの3種類が選べます。さらにBluetoothを搭載していて、ボートのメインコンピュータとのデータリンクも可能です。ちなみに重量は8.2kgということです。

このデバイスは、既にBMWオラクルの「USA」でのオンボードテストが繰り返されており、満足のいく結果を出しているそうです。

全くヨット乗りにとっては夢のような道具です!

ウチにもひとつ欲しいくらいですが、気になるお値段の方は、BMWオラクルが使用しているハイエンド機種で、1式149,500ドル(約1,350万円!)だそうです。

えー、これ1個でJ/24が何艇買えるのかわからないくらいなので、ウチでは無理ですが、日本の有力チームのみなさん、如何でしょうか?(購入されたら、是非一度見せてください!)

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追記です。

Img_2769b

Photo Copyright: Kazenotayori

これで良くわかりました。「USA」のウィングについている、この"顔"の目。これがウィンド・ディテクターの検出部だったのです。つまり、BMWオラクルが使用しているのは、バレンシア・セーリングに写真が出ていたようなポータブルタイプでなく、ビルトインタイプということになります。

これが、ウィングにいくつ付いているかというと・・・

Img_2768b

Photo Copyright: Kazenotayori

1、2、3・・・ 5セット。ということは、これだけで6,750万円!

う~む、BMWオラクル恐るべし・・・

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