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2013年7月 9日 (火)

ラダーの何が問題なのか?

アルテミスレーシングが第34回アメリカズカップのレガッタディレクターであるイアン・マレーの示した37項目の安全提言に異を唱え、ルイヴィトンカップの開幕戦をボイコットしたことは、既にお伝えしたとおりです。

最大の争点はラダーに取り付けられたエレベータ(昇降舵)に関する安全規定とされています。そこで、マレーの提言に何が書いてあるのか、見直してようと思います。

上記のごとく、ラダーに関する規定は、マレーの提言のほぼ最初に出てきます。

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1.3 ラダーエレベータ

a) ラダー当たりの最小面積は 0.32m2 であること。

b) ラダー間における最小深さは 2.1m であること。

c) エレベータの最大翼幅は 1.4m であること。

d) ラダーエレベータの平面形状は対称形であること。またヨットの最大幅を越えてもよい。

e) エレベータの調整は予告信号まで許される。

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この安全規定は、エレベータの機能を拡充すると同時に、帆走中に破損するトラブルを避けるため、エレベータの強度を確保することを目的としていると言えます。

まず、安定翼であるエレベータの最小面積(0.32m2より大きくなければならない)と最小深さ(2.1mより深い位置になければならない)を規定することにより、エレベータの安定翼としての機能向上が図られています。

また、最小面積を規定する一方で最大幅を規定することにより、エレベータには一定以上の翼弦長(翼の前後長)が確保されることになり、強度の向上が図られます。

対称形であることは、エレベータの中央に支持体であるラダーが位置することを意味し、これも強度の点で有利になります。(下の動画で、元々オラクルがレースに使用するつもりであった非対称形のエレベータと、規定に沿って製作された対称形のエレベータが出てきますので、是非見比べてください。)

最後に調整が予告信号まで許されることとなったので、スタートギリギリまで、コンディションに合わせたアジャストが可能となります。

一方、今回規定によりエレベータは大型化するため、ドラッグ(抵抗)も増大します。その結果、特に軽風下でのボートスピードにマイナスとなる影響を与えることになります。

その為、基本的に同じデザインのボートでありながら、軽風下でしかチーム・ニュージーランドに勝てないといわれているルナロッサにとっては、大きな問題となっているのです。

バレンシア・セーリングによる取材映像で、ラッセル・クーツ自らがラダーエレベータの効果について説明しています。このなかでクーツは、エレベータの面積が大きいほど安定度が増すため、より安全な方向となるが、当然ドラッグは大きくなると語っています。

ISAFが指名した国際ジュリーによる裁定は、今週中ごろに出る予定です。もし満足のいかない裁定が出た場合、ルナロッサのオーナーで、プラダの会長であるパトリッツィオ・ベルッテリは今大会からの撤退を示唆しています。

さて、どうなりますやら。

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JSAFアメリカズカップ委員会は日本のアメリカズカップ再挑戦へ向けて活動しています。

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