カテゴリー「Alinghi」の記事

2015年4月27日 (月)

アメリカズカップは嵐の中

ACEAが突然提案したレース艇の小型化と、それに反対するルナロッサの撤退、さらに続くゴタゴタについては、3月28日4月4日4月6日4月21日の当ブログでお伝えしたとおりです。

このゴタゴタの発端となったレース艇の小型化、およびウワサされる日本チームについてのヒントが、4月19日付のニューヨーク・タイムズ紙(電子版)に掲載されています。

The New York Times: Familiar Shoals for America's Cup: A Spat Over Rules

この記事は、様々な関係者のインタビューを通じ今回の騒動を検証しており、中々興味深い内容となっています。

まず最初に、2003年、2007年と2度に渡りカップに勝利したアリンギ(スイス)のオーナー、エルネスト・ベルタレリが、今回の騒動について語っています。

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アリンギのオーナー、エルネスト・ベルタレリ © Guido Trombetta / Alinghi

「世界中のみなさんに理解しておいてほしいのは、私がアメリカズカップに出るのを止めたのは、ルナロッサが撤退したのは、そしてニュージーランドがチーム存続の危機にあるのは、全てオラクルの連中がスポーツマンらしからぬ行動をとるからなんだ。スポーツというものは、独立した審判の下、公平なルールがつくられて初めて成立するものなのだから」

えーっと、2007年大会からの2年半に渡るゴタゴタを覚えている人からすると、この発言は殆どジョークですが、ともかくスイスの大富豪ベルタレリさんは、今回突然AC62のクラスルールが破棄されたことにより、友人であるプラダのパトリッツィオ・ベルテッリが2600万ドルをどぶに捨てることになったと語っています。

一方、かつてルナロッサのヘルムスを務めたこともあるオラクルのジェームス・スピットヒルは、ベルテッリを気遣いながらも、今回の変更は必要なものであったと主張しています。

「僕らはアメリカズカップの将来を真剣に考えなければならない。前回、前々回の大会では、大型のマルチハル艇が如何に迫力あるものかが証明されたけど、あれをずっと続けるわけには行かない。僕らは新しいチームを呼び込まなければならない。そのためには、今ここでボートの仕様を固めなければならないんだ」

ベン・エインズリも「今回の変更は必要であった」「参加チームの多数決で承認されたことにより、その手順についても問題はなかった」とコメントしています。ただし、アメリカズカップの憲法『贈与証書』によれば、『ルール変更は防衛者(オラクル)と挑戦者代表(ルナロッサ)との相互の同意が必要』とされているのを、今大会のプロトコルにおいて『参加チームの多数決で変更可能』とルナロッサ自身が変更していたことは皮肉であるとも語っています。

今回のルナロッサの撤退について、ラッセル・クーツは以下のように語っています。

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ラッセル・クーツ © Gilles Martin-Raget / ACEA

「そりゃ、もちろんルナロッサには居てほしいよ。だが、ボートを小型化することによって、間違いなく新しいチームが参入してくることになる。私にいえるのは、日本からのチームがやって来るということだ。そして、そのチームのオーナーが誰かがわかったとき、それがルナロッサより大きいのか、それとも小さいのかということが議論の的になるだろうさ」

また、今回のボートの小型化に関し、クーツはラリー・エリソンの意向でもあることを語っています。エリソンは以前のように自らヨットに乗り込むことはなくなりましたが、クーツによれば、依然深く関与しており、AC45改によるフォイリング映像を送った直後、エリソンから電話があったということです。

「彼(エリソン)は依然イベントの方針決定に深く関与している。彼に動画のリンクを送ったら、数分も経たずに電話がかかってきて『これでアメリカズカップをやればいいじゃないか』と言われたんだ。私も全く同じ意見だったけどね」

クーツによると、前回2013年の大会ではどのチームも1億ドル以上の資金をつぎ込んでいたのが、今回のボートの小型化により3000万ドルまで圧縮できるとしています。

振り返ってみると、アリンギが開催した2007年大会では11の挑戦チームがありましたが、前回大会で最後まで残った挑戦チームは3チームのみ。

そのため、今回ACEAのCEOという肩書きをもつクーツとしては、とにかく参加チームを増やしたいということなのでしょう。しかし、最初に名乗りをあげたオーストラリアのハミルトン島ヨットクラブに続いて、今回のルナロッサと挑戦者が次々と撤退し、今大会も現在挑戦チームは4チームだけ。

さらに、非課税というインセンティブに乗ってバミューダ開催を決めた結果、アメリカのセーリング界からは白けた目でみられ、また、自国政府に投資効果を疑問視されはじめたチーム・ニュージーランドも存亡の危機ある・・・という状況です。

ニューヨーク・タイムズも『アメリカズカップは嵐の真っ只中にあり、最後にどれだけの有力チームが残っているかは疑問である』という言葉で記事を締めくくっています。

前途多難ですが、是非頑張ってほしいものです。

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JSAFアメリカズカップ委員会は日本のアメリカズカップ再挑戦へ向けて活動しています。

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2013年7月30日 (火)

ところでアリンギは?

閑話休題、かつて王者の名を欲しいままにしたアリンギの近況が入って来ました。

40フィートレーシングカタマラン「エクストリーム40」を使用したサーキット「エクストリーム・セーリング・シリーズ」の第5戦ポルト大会で、惜しくも優勝は逃したものの、アリンギは最終日までその存在感を示したようです。

ちなみに、ポルトでは普段自らヘルムをとるオーナー、エルネスト・ベルタレリではなく、かつてマキシでブイブイいわせていたモーガン・ラーソン(アメリカ)が舵を握っていました。

かつてのエド・ベアードもそうでしたけど、”USA”を背負うオラクルに殆どアメリカ人がいない一方で、ライバルアリンギのヘルムをアメリカ人が握っているというのは、なんとも皮肉ですね。

元々アリンギはマルチハルがお家芸なんだから、変な意地張ってないでアメリカズカップに参戦すれば良いのに・・・って、前回の経緯を考えるとムリ??

以上、本日の小ネタでした。

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2013年7月21日 (日)

これがウィングセールの底力か!

7月7日に開幕したルイヴィトンカップも、今日がラウンドロビン3の最終戦。

AC72を建造し、ここまで残った挑戦者3チームの内、アルテミス(スウェーデン)は5月の転覆事故で1号艇を大破、依然2号艇の準備が整わず欠場中。ルナロッサ(イタリア)は安全対策に伴うルール変更に抗議して、初戦をボイコット。唯一エミレーツ・チームニュージーランド(ETNZ)だけが初戦から皆勤賞で、着々とポイントを重ねています。

こうした状況下、今日は7月13日以来2度目となるAC72同士の対戦となりました。結果は前回同様ETNZの勝利となりましたが、彼らの底力を前回と異なる形で世界に見せ付ける、驚くべきレースとなりました。

ラウンドロビン3 第3レース: ルナロッサ(S) ● - ○ エミレーツ・チーム・ニュージーランド(P)

今日のコンディションも前回同様、風速15~20ノットの南西風。まず ETNZ がルールに従い、先にスタートボックスへエントリー、続いて10秒後にルナロッサがエントリー。前回と異なり、両艇ともラインから一旦離れますが、まず後続のルナロッサがラインへ戻ります。続いてETNZも舳先をラインへ向け、フォイリングしながら猛然とルナロッサに襲い掛かります。そして、ルナロッサをラインへ押しやりながら、絶妙のタイミングでスタート。

レース序盤、ルナロッサは前回より安定感を増している感じで、先行する ETNZ に対し積極的に仕掛けますが、ジャイブロスがやや大きく徐々に離されます。

ドラマは最初の風上航の半ばで訪れます。順調にレースをリードする ETNZ のジブハリヤードが突然破損、ジブが落ちてきます。ここで ETNZ はジブをダウン、海中に投棄してレースを続行(ジブはチェイスボートが回収)。

ルナロッサにとって千載一遇のチャンス!…と思いきや、ETNZ のスピードが殆ど落ちません。ヘッドセールなしで見事なフォイリングを見せながら、リードを広げ、最終的に2分19秒差でルナロッサを破りました。

とにかく、ヘッドセールがないにもかかわらず、ボートスピードが殆ど変わらない。しかも、ヘッドセールを持つルナロッサが全く追いつけない。恐るべき底力を見せ付けました。

このシーンをみて、ブログ主のとんべえは、BMWオラクルの「USA」がレース途中からヘッドセールを下ろしながら、易々とアリンギの「アリンギ5」を破った第33回アメリカズカップの第1レースを思い出しました。

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Photo Copyright: Gilles Martin-Raget/BMW ORACLE Racing

当時の解説によれば、ウィングセールは極めて効率が良いため、ヘッドセールは必ずしも必要でなく、むしろヘッドセールなしのほうが低ドラッグで走れるということでした。

さて、今回も圧倒的なパフォーマンスをみせたキウィセーラーたち。このまま大きな波乱もなく、ルイヴィトンカップを勝ち取り、"史上最強のセーリングチーム"を自称するオラクル・チームUSAと闘うことになるのか? 或いはルナロッサかアルテミスが、一矢報いるのか?ルイヴィトンカップはまだまだ続きます!

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2013年6月25日 (火)

闘いは再び法廷へ?

どうも、きな臭い話が出てきました。

地元サンフランシスコの報道によると、アメリカズカップ・レースマネジメント(ACRM)の大会委員長、イアン・マレーが提示した37項目の安全提言に対する協議が難航している件で、もしこのまま合意に至らない場合、再び裁定がニューヨーク州最高裁判所へ委ねられる可能性があるとのことです。

San Francisco Chronicle: America's Cup dispute could end up in court

この記事でイアン・マレーは、ISAFの国際ジュリー団を交えた4日間の調停協議の結果、「争点はフォイルについたエレベータ(昇降舵)の扱いに絞られてきた」と語っています。

消息筋が San Francisco Chronicle 紙に語ったところによると、チーム・ニュージーランドとルナロッサは、オラクルとアルテミスの使用しているフォイルに装備されているエレベータがルール違反であると主張しているとのことです。

具体的には、オラクルとアルテミスのエレベータに装備されているエルロンが問題視されており、これを持たないニュージーとルナロッサが態度を硬化させている模様です。

ニューヨークを拠点として活動する弁護士であり、アリンギとオラクルが激しい法廷闘争を繰り返した際、詳細な解説(←当ブログでも引用させていただきました)を Scuttlebutt に寄稿してくれたコリー・E・フリードマン氏は、「この国際ジュリーによる調停に不服のあるチームが、オラクルとアリンギの法廷闘争と同様、アメリカズカップの法的管掌者であるニューヨーク州最高裁判所へ提訴する可能性は極めて高い」と語っています。

ルイヴィトンカップの開催を来週に控え、果たしてどうなることか…

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2010年11月26日 (金)

アリンギ、第34回アメリカスカップ不参加を表明!

残念なニュースが飛び込んできました。

前回、前々回アメリカスカップの勝者であり、今年2月バレンシアでの第33回大会においてBMWオラクルにカップを奪われたアリンギは、現地時間の11月26日次回第34回大会へ参加しないことを発表しました。

Alinghi: Alinghi announces sailing programme

今回の発表の主旨は以下のとおりです。

  1. 現防衛者BMWオラクルと挑戦者代表マスカルツォーネ・ラティーノによって発表された次回大会の運営議定書(プロトコル)を精査した結果、現状アリンギは第34回アメリカスカップへ参加不可能であるとの結論に至った。
  2. 次回アメリカスカップへの参加を見合わせる代わりに、アリンギは来年40フィートカタマラン「エクストリーム40」でのサーキットシリーズへ参戦する。
  3. アリンギはアメリカスカップへの興味を失ったわけでなく、今後もその動向を注意深く見守っていくつもりである。

グラント・シマーやマリー・ジョーンズら主要メンバーが相次いで脱退しているアリンギでしたが、遂に次回大会不参加の意向を表明しました。とはいえ、一応将来の参加へ含みを持たせた発表となっています。

次回大会へのエントリー受付期間は2010年11月1日~2011年3月31日です。

これに対し、現段階でBMWオラクル(アメリカ)への挑戦を表明しているのは、マスカルツォーネ・ラティーノ(イタリア)、アルテミス(スウェーデン)、そしてチーム名未公表の1チーム(エミレーツ・チーム・ニュージーランドとみられている)の合計3チームのみであり、出足としては余り芳しくありません。

アリンギはこのエントリーの成り行きを窺っているのかもしれません。果たしてエントリー締め切りまでにアリンギが、今回の決定を覆すときがくるのでしょうか?

ブログ主とんべえとしては、やはり"王者"アリンギの姿を次回大会でも見てみたいと思う次第です・・・

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2010年6月 1日 (火)

グラント・シマー、アリンギ脱退。オリジンのCEO就任。

次回アメリカスカップへの参戦を目指すイギリスのチーム・オリジンは、アリンギのデザイン・コーディネータであったグラント・シマーがアリンギを離れ、チーム・オリジンのCEOに就任することを発表しました。

TeamOrigin: TeamOrigin Announces Appointment of Grant Simmer as CEO.

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グラント・シマー Photo Copyright: Carlo Borlenghi / Alinghi

カップを失ってからのアリンギは、チームのルーツであるレマン湖上でのマルチハルレースに回帰しています。

今回のシマーの離脱を見ても、オーナーであるエルネスト・ベルタレリはアメリカスカップへの興味を失いつつあるのかもしれません。

ともかく今後のアリンギの行動を注意深く見守って行きたいと思います。

追記: ブログ主とんべえは、とりあえず日本に帰ってきました。しかし、依然自宅のネット環境が整備されない為、当面は片肺状態でブログの更新を行っています。

という訳で、コメントをいくつかいただいていますが、お返事遅くなることをご容赦ください

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2010年2月18日 (木)

公平なルールができるなら、参加しても良い - エルネスト・ベルタレリ

え~、このネタを取り上げるべきかどうか迷ったのですが、一応簡単にお伝えしておきます。

第33回アメリカスカップ敗退から3日経った2月17日アリンギ代表エルネスト・ベルタレリは、次回大会に対する自らの考えをマスコミに語っています。

NZ Herald: Bertarelli wary of new America's Cup rules-maker

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Photo Copyright: Guido Trombetta/Alinghi

AP電によるこの記事の中でベルタレリは、ビンチェンツォ・オノラート率いるマスカルツォーネ・ラティノが新たに挑戦者代表となったことに懸念を示し、「アリンギがカップ奪回のため次回大会に挑戦するか否かは、フェアなルールができるかどうか次第だ(Bertarelli said Alinghi's attempt to regain the cup will depend on whether the next set of rules are fair.)」と語ったそうです。

ベルタレリの発言は、挑戦者代表(チャレンジャー・オブ・レコード)は全ての挑戦者チームの代弁者でなければならず、BMWオラクルとマスカルツォーネの関係が余りに親密なため、お友達クラブとなることに対する懸念を示しているのですが、それにしても彼からこんな言葉が出てくるとは・・・

ちなみに、この記事の最後でベルタレリは「この先どうなるかわからない状況で、誰を雇えというんだ」と発言しており、これを受けてか、口の悪い連中が集うセーリングアナーキーでは「最初にアリンギを辞めるは誰だ?」などというスレッドが立っています。

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2010年2月17日 (水)

第2レースのスタートは紙一重だった - ハロルド・ベネット

カップが終わって、ちょっと放心状態のブログ主とんべえです。

終わってみると呆気なかったですが、でもBMWオラクルの「USA」は本当に度肝を抜かれるボートでした。とんべえが見たのは「USA」がまだ「BOR 90」と呼ばれ、サンディエゴでテストを繰り返していたころですが、それでもあのハードウィングセイルは一目見ただけでホントに圧倒されます。なにしろ20階建てビル並のデカさですから・・・

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Copyright: BMW ORACLE Racing

自分で見たから(しかも挑戦艇だけ)いう訳ではありませんが、でも、あのデカさ、言い換えれば、あの常識外れのバカバカしさを見なければ、今回のカップの本質は理解できないんじゃないかと思います。20階建ビルが時速50~60kmで走ってくるというと、そのバカバカしさが伝わるでしょうか。 多分それが今回のレースの本質だったんでしょう。

こんなバカげた対戦は2度と行われないでしょう。その意味で、今回現地で本当に対戦を目にした人は本当に幸せです。これから「USA」と「アリンギ5」がどうなるのか一切伝わってきませんが、是非とも人々の目に触れる形で残して欲しいと思います。

話は少し前後しますが、カップ奪回に対するアメリカの反応を少しお伝えしておきます。

下記は一夜明けた2月15日付の全国紙「USA TODAY」とサンディエゴの地元紙「San Diego Union Tribune」のスポーツ欄です。

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15年ぶりにカップがアメリカに戻ってくるということで、さぞ現地は熱狂しているかというと、実はTVニュースでもほんの少し触れられただけ。新聞も一面はおろか、スポーツ面の、しかも隅っこに小さく載っているだけです。バンクーバー・オリンピック、更にはNASCARのデイトナ500の陰に完全に隠れてしまった感じです。

今回アリンギ・オラクル両チームのセーリングメンバーを見渡しても、アメリカ人セーラーはジョン・コステキただ一人(ラリー・エリソンは別として)。アメリカのセーリング界も停滞気味で、カップへの興味もすっかり薄れてしまったようです。デニス・コナーがカップを奪回し、レーガン大統領にホワイトハウスへ招待されたあの熱狂は、遠い昔なのでしょうか?

さて、このところアリンギ批判を強めているかのごとき当ブログですが、またアリンギ側のいやな話が伝わってきました。

ニュージーランド・ヘラルド紙が伝えるところによると、去る2月14日に行われた第33回アメリカスカップの第2レースにおいて、6時間に渡る延期の末、レースをスタートしようとしていたレース委員長ハロルド・ベネットは、レースをさせまいとするソシエテ・ノーティーク・ドゥ・ジュネーブ(SNG:アリンギの所属母体)の妨害を受け、もう少しのところで「PM4:30以降はスタートしない」という規定に引っかかるところであったそうです。

NZ Herald: How a NZ official stared down Alinghi team

この記事によると、4時間に渡る海上待機の後、ようやくレースを開催できる風が吹いてきたため、ベネットはPM4:00にAP旗を降ろすようコミッティに指示しました。しかし、ベネット以外全てSNGのメンバーで構成されているコミッティは、ハロルドの指示を拒否したのだそうです。SNGがレースのスタートを拒んだ理由は、「アリンギ5」にとって不利となる波が海面に残っていたからと考えられています。

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Photo Copyright: Guilain Grenier/BMW ORACLE Racing

ベネットは友人に宛てたEメールで以下のように語っています。

「レース委員長に対し、スタートを取り止めさせようとするような非常識な行動がコミッティボート上で繰り広げられるなんて、私はこれまで見たことがない」

窮地に追い込まれたベネットは、コミッティボートに乗り合わせていたBMWオラクルのトム・イーマンに助けを求め、またアンパイアの資格を持っている人物がサポートボートに乗っていたため、その助けも受けて最終的にタイムリミット5分前というギリギリのタイミングでレースをスタートするのに成功したということです。

当時の予報によれば、次のレース予定日であった2月16日(火)以降現地バレンシアは荒れ模様となることが予想されていたため、もしこの日にレースが行われなかった場合、再び何日もレースが延期になる可能性があったのだそうです。

これに対しベネットは以下のように続けています。

「もし、あの日レースをスタートできていなかったとしたら、次のレースにはSNGの連中を陸上に残し、スペインにいる私の友人達を連れて行かなきゃならなかっただろうね」

確かに映像を見ていても、波にあおられピッチングする「アリンギ5」の姿は苦しそうでした。だから、この波ではやりたくなかったのか、或いは単に一日でも長くタイトルホルダーで居たかったのか・・・

タイトルを失った途端、王者アリンギを非難するかのごとき行動は、決して本意ではありませんが、でもやっぱり何だかなぁ~と思います。(アリンギファンのみなさん、ゴメンナサイ!)

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2010年2月14日 (日)

【速報】BMWオラクルが連勝、アメリカスカップは15年ぶりにアメリカへ!

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Photo Copyright: Guilain Grenier/BMW ORACLE Racing

結果的に大差がつきましたが、見応えのあるレースでした。

風の振れや強弱がアリンギに有利に働いたこと、またレース途中からベルタレリに代わってヘルムをとったロイック・ペイロンが素晴らしいステアを見せたことから、予想に反し前半は接近戦となりましたが、上マーク回航後は、最高速度33ktをマークしながら快走する「USA」の一方的な展開となり、最終的にBMWオラクルが5分21秒差で勝利を納めました。

その結果、2月12日に行われた第1レースに引き続き連勝したBMWオラクルは、15年ぶりに"至高の銀杯"をアメリカへ持ち帰ることに成功しました。

なお、今日の第2レースにはBMWオラクルのオーナー ラリー・エリソン、更に15年前カップをアメリカから奪取した張本人ラッセル・クーツも「USA」に搭乗し、共にレースを闘っています。

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スタートの遅れを挽回し、「USA」の前を切る「アリンギ5」 Photo Copyright: Guilain Grenier/BMW ORACLE Racing

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ゴール後ガッツポーズを見せる「USA」クルー Photo Copyright: Guilain Grenier/BMW ORACLE Racing

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高々とカップを掲げるスピットヒル、クーツ、エリソン、コステキ(左から) Photo Copyright: Guilain Grenier/BMW ORACLE Racing

レース後のアリンギ・BMWオラクルの記者会見、及びカップ授与式の模様

Watch live streaming video from bmworacleracing at livestream.com

BMWオラクル関係者のコメント

ラリー・エリソン(オーナー):「全く最高の気分だ。このチームの一員であることを本当に誇りに思うよ。これほどにまで誇らしく感じたことは今までになかったくらいだ。そして長い年月を経てアメリカスカップをアメリカへ持ち帰ることを、この上なく誇りに思う」

「(次回大会の開催地について)まだ一切決めていない。サンフランシスコはもとより、サンディエゴ、ニューポートの人々からの支援を受けて来た。もちろんサンフランシスコの当局とも協議する必要がある。我々の目標は多数チームが参加する次回大会の開催だ。したがって、それらチームのベースを如何に準備するかも検討課題だ。」

「あらゆる選択肢について検討する用意がある。バレンシアは過去2回に渡りカップの開催地として見事な役割を果たしてきた。ご存知のように、元々アリンギはバレンシア以外の場所での開催を計画していたのだが、我々自身がバレンシアでの開催を強く求めた結果ここで開催された経緯もある。第32回大会、33回大会を通じ、バレンシアでのレースを我々は楽しむことができた」

「(次回大会の挑戦者代表:チャレンジャー・オブ・レコードについて)今いえることは、既に挑戦者代表は決まっているということだけだ。第34回大会に関し約束しておきたい。即ち、ジュリーもアンパイアも防衛者から完全に独立した存在となる。次回カップの運営も独立した組織が行い、全ての参加者にとって公平な条件が用意されることになる」

ジェームズ・スピットヒル(スキッパー兼ヘルムス): 「最高の気分だよ。チーム全員がこのボートに全力を投入してくれたお陰で、何の問題もなく2レースを闘うことができた。この気持ちをショアチームのスタッフ、トレーナー、そしてサポートチームと設計チームの全てのメンバーに伝えたい。彼らは本当に素晴らしい道具を僕らに与えれくれた」

「素晴らしいレースだったよ。勝敗はどっちに転ぶかわからなかった。あれほどにまで風が右にシフトするとは思ってなかったから、前半はかなりドキドキしたよ」

ラッセル・クーツ(チームCEO): 「今回は非常に厳しいイベントだった。ほんの2・3ヶ月前ですら、アリンギに勝てるかどうかわからなかった。なぜなら私自身アリンギにいたことがあり、彼らがどんなに手強いかよくわかっていたからだ。僕らのチームの素晴らしい努力が彼らを破る結果に結びついたんだ。アリンギにはまた戻ってきて、是非もう一度アメリカスカップを争ってほしいね」

ジョン・コステキ(タクティシャン): 「物凄いことだよ。僕は25年間もアメリカスカップを勝ち取ることを夢見てきたんだ。だから、とても特別な瞬間だよ。僕らは本当に素晴らしいチームであり、みんなで一丸となって闘ってきたんだ。特にウィングセイルを導入してからは、非常に難しいプロジェクトだったし、何度もテストを繰り返してきた」

アリンギ関係者のコメント

エルネスト・ベルタレリ(オーナー兼ヘルムス): 「過去10年に渡るアリンギの活動を見守ってきてくれた人たちなら、きっと私の今の気持ちを理解してくれることだろう。アリンギのチームで働いたり、チームを応援し見守ってくれた人たちの間には、いつも暖かく、魂がこもった友情があった。だから、これまで我々が築き上げてきたことを心から誇りに思う」

「アメリカスカップの将来は、もはや私が決めることではなくなったから、将来カップがどこへ進むのか見守ろうと思っている。その上で、どうするかを決めるよ」

「連中には戦略があった。彼らにはニューヨークの司法制度からのちょっとした手助けがあった。我々ヨーロッパ人が同じような恩恵を受けようとしても、いつもややこしいだけだった。連中は我々のボートをみて自分たちのボートを改造することができたし、ウィングを導入することもできた。そして、彼らは我々より速かった。だから、かれらは上手くやったよ。もしこれがユーロカップであれば、私にも同じようなことができたかもしれないが、これはアメリカスカップだ。だから、彼らにはちょっとしたアドバンテージがあり、結局カップを取り戻すことに成功したというわけだ。これからどういうことになるか、見守っていこうじゃないか」

「私が思うに、アリンギが残した最大の功績は、アメリカスカップに勝った最初のヨーロッパチームであるということではないだろうか(会場から大きな拍手)」

その他関係者のコメントについては、順次この記事に追記していきますので、改めてご覧ください。

また第2レースの詳細については、ハイライト映像がオープンとなった後、別途アップします。

(当ブログの掲載写真は、33rd America's Cup/Alinghi/BMW ORACLE Racing の使用規則に則り使用していますので、転載はご遠慮ください)

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2010年2月13日 (土)

【速報】 日曜日のスタートも2時間順延!

このところ、毎日のレースを追っかけるので精一杯で、色々といただいているコメントにお返事できなくてゴメンナサイ。近いうちにまとめてお返事差し上げます。

さて、第33回アメリカスカップのレース委員会は、バレンシア時間2月14日(日)に開催予定である第2レースに関し、PM12:00(日本時間PM8:00、米国西海岸時間AM3:00)以前にスタートを行わないと発表しました。4日前、2日前と全く同じ状況です。

第1戦で余りの大差がついたため、各国のセーリング関連サイトは次回大会となる第34回アメリカスカップはどうなるのかというウワサで持ち切りです。具体的には

  • 次回大会のプロトコル(大会運営議定書)を制定するに当たり、重要なカギを握る挑戦者代表(チャレンジャー・オブ・レコード)はどこになるのか?
  • 次回大会の使用艇はどうなるのか?
  • 開催地は?

等々などです。

一方、第1レースのハイライト(5分版)がYouTubeにアップされたので、昨日付けの当ブログに貼り付けておきました。

というわけで、また今夜Twitterでお会いしましょう

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