カテゴリー「Artemis Racing」の記事

2014年11月 2日 (日)

第35回アメリカズカップの開催地は何処に?

2017年に予定されている次回アメリカズカップの開催地ですが、現在米国サンディエゴか英領バミューダ諸島の2ヶ所に候補地が絞られています。

当初は前回大会の開催地で、現在のカップ保有者であるゴールデンゲート・ヨットクラブ(GGYC)のお膝元サンフランシスコに加え、ニューポート、シカゴ、そしてサンディエゴとバミューダが候補に挙がっていましたが、早々にサンフランシスコとニューポートが脱落。その後、シカゴとハワイも落選し、現在2候補が残っている状態です。

35th America's Cup: Bermuda and San Diego shortlisted as America's Cup venues

大会オーガナイザであるアメリカズカップ・イベントオーソリティ(ACEA)は、年内に次回開催地を発表するとしています。

さて、現在候補に挙がっているサンディエゴとバミューダですが、次回大会にエントリを表明しているアルテミスのサイトに、それぞれの開催地でのレーシングコース案が掲載されています。

Artemis Racing: Statement from the America's Cup Teams meeting

バミューダのコース案

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サンディエゴのコース案

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どちらも大衆の面前でレースを行う”スタジアム・セーリング”を念頭に置かれたものです。

確かに従来のヨットレースは、レースの展開や勝敗が一般の人にはわかりにくいものでした。そのため、2013年に開催された前回のアメリカズカップでは、サンフランシスコのダウンタウンの目前にレースコースが設定され、さらにITを駆使したヴィジュアル化によって、レース展開をわかりやすくしていました。

今回のコース案は、そのアイデアを踏襲したものになっています。

しかし、かつてサンディエゴの住人であったブログ主とんべえにとって、バミューダのことはよくわかりませんが、サンディエゴの案はちょっといただけない気がしています。

まず、サンディエゴ湾内は大衆の面前でレースをするにはよいとしても、風が弱い。前回のようなダイナミックなフォイリングが期待できるのか? さらにシェルター島とコロナド島との間の海域が狭過ぎます。AC45ならともかく、AC62には明らかに狭いでしょう。

とはいえ、サンディエゴは良いところです。積極的に誘致を行っているサンディエゴによって作成されたこのビデオを見てください。

うーん、やっぱりサンディエゴがいいな。

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2013年8月 6日 (火)

ついにアルテミス登場!結果は?

ついにアルテミスのAC72が登場、ルナロッサとの対戦に臨みました。

セミファイナル 第1レース: ルナロッサ(P) ○ - ● アルテミス(S)

7月に始まったアメリカズカップへの挑戦者決定シリーズ「ルイヴィトンカップ」も今日からセミファイナル。

ここまで全勝のエミレーツ・チームニュージーランドが決勝へ自動的に進むことになったため、残るルナロッサ・チャレンジ(イタリア)とアルテミス・レーシング(スウェーデン)の2チームが、7戦中4戦先勝形式で争います。

5月に不幸な転覆事故を起こしたアルテミスは、大破したAC72の1号艇に代わる2号艇の準備に時間を要したため、これが初めてのレースになりました。

結果はルナロッサの勝利。特にダウンウィンドのボートスピード、そしてジャイブの安定性で両艇の差が顕著でした。

• Course length: 15.83 nautical miles
• Elapsed time: LR – 43:20; ART – 45:20
• Total distance sailed: LR – 18.78 NM; ART – 18.69 NM
• Average speed: LR – 26.04 knots (29.9 mph); ART – 24.75 knots (28.4 mph)
• Top speed: LR – 39.19 knots (45 mph); ART – 40.56 knots (46.6 mph)
• Wind speed: average 16.1 knots; peak gust 20.4 knots

アルテミスにとっては、5月の事故からほぼ2ヶ月のブランクが響いた形になります。アンドリュー・シンプソンを失う悲劇から不眠不休で体制の再構築に取り組んできた彼らです。短期間での挽回は困難かもしれませんが、なんとか頑張って欲しいものです。

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2013年7月24日 (水)

女神の帰還。

アルテミス2号艇、走り出しました。 きれいにフォイリングしてます。

がんばれー!

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2013年7月12日 (金)

Born in the USA?

今日は少し口直し。

さて問題です!

オラクル・チームUSAのセーリングチームには、24名の腕利きセーラーが在籍していますが、その内米国人は何名いるでしょうか?

正解はこちら↓

オラクル・チームUSAのヘルムス、ジェームズ・スピットヒルが facebook でシェアした動画です。

しっかし、ルナロッサのセーリングスーツ、めちゃSFチック。

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2013年7月11日 (木)

イアン・マレーの安全提言は却下! ルナロッサはレースに復帰。

第34回アメリカズカップのレース運営組織:アメリカズカップ・レースマネジメント(ACRM)の合意の下、国際セーリング連盟(ISAF)が指名した国際ジュリーの裁定が下されました。

結論は、「ACRMのレガッタ・ディレクターであるイアン・マレーが、大会公示(Regatta Notice) 第189号で出場各チームに指示した安全のためのAC72クラスルールの変更は無効」というものです。

以下が今回の国際ジュリーの判定文書の全文です。

ここには、エミレーツ・チームニュージーランドとルナロッサがイアン・マレーの安全提言、及び大会公示第189号に対し不服を申し立てた経緯、オラクルやアルテミス、さらに米国沿岸警備隊(日本の海上保安庁に当たる)といった関係者への事情聴取結果、さらには本裁定の根拠となる「贈与証書」から第34回アメリカズカップの大会議定書(プロトコル)の関連条項まで延々と記載されていますが、肝心なのは22ページ目の数行だけです。

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DECISION AND ORDERS

186. Regatta Notice 189 has the effect of changing the Class Rule and is therefore not in accordance with Protocol Article 4.3(k). The Regatta Director is ordered to withdraw RN 189.

裁定 及び 指示

186. 大会公示 第189号はクラスルールを変更する効力を持っており、大会議定書 第4.3条K項に違反する。従ってレガッタ・ディレクタは大会公示 第189号を取り下げること。

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大会議定書 第4.3条K項には、「ACRMは大会議定書に沿った規則を発行することができるが、それら規則は同じく議定書の13条に規定された文書の内容まで変更できない」と書いてあります。議定書 第13条については、あとで述べるとして、では大会公示 第189号に何が書いてあるかというと・・・

「アルテミスの転覆事故を受けた是正処置の一環として、米国沿岸警備隊に(例の37か条からなる安全提言を含む)競技安全化計画を提出した。(法令順守を規定した)大会議定書 第16条と(大会運営の規則書を定義した)大会議定書 第13.2条に従い、AC72のクラスルールを変更する」とされています。

この際なので、第34回アメリカズカップの大会議定書もアップしておきます。興味のある方は第4.3条K項と第16条、第13.2条をご参照ください。

ちなみに第13.2条には"第13.1条を見ろ"と書いてあり、第13.1条には、この大会議定書より「贈与証書」が優先されると書いてあります。アメリカズカップの憲法である「贈与証書」については、2009年8月10日付の当ブログに詳しく記しているので、興味のある方はそちらもどうぞ。

とまぁ、ここまできて何が問題かというと、要はクラスルールの変更が問題なのです。ということで、今度はAC72のクラスルールを見てみましょう。

問題は、クラスルールの第4条にあります。

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4. AMENDMENTS

The AC72 Class Rule may be amended at any time by unanimous consent of Competitors still competing and the Regatta Director, except that:

(a) at any time the Measurement Committee, with the approval of the Regatta Director, may amend the AC72 Class Rule with respect to media requirements; and

(b) prior to March 1, 2011, the Measurement Committee, with the approval of the Regatta Director and a majority of the Competitors, may amend the AC72 Class Rule in any respect.

4. 修正

AC72クラスルールは、以下の場合を除き、参加中の競技者およびレガッタ・ディレクタによる全会一致の合意がなければ修正できない。

(a) レガッタ・ディレクタの許可の下、計測委員会はメディア関連のAC72クラスルールを修正できる。

(b) 2011年3月1日までは、レガッタ・ディレクタと過半数の競技者の許可の下、計測委員会はAC72クラスルールのいかなる項目も修正できる。

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ということで、いかにレガッタ・ディレクタといえども、全参加チームの合意がなければ、クラスルールの変更はできないことになっているのでした。今回チーム・ニュージーランドとルナロッサは、正にこの点を突いてきたのです。

今回の裁定の結果、クラスルール変更を伴うラダーエレベータの面積や深さ、対称形といった安全規定は撤回され、ルナロッサはめでたくレースに復帰となりました。

で、これからどうなるかというと、2つの懸念が指摘されています。

1. 沿岸警備隊の許可が撤回されないか?

そもそもイアン・マレーはアルテミスの転覆事故を受け、上記ラダーエレベータの安全規定を含む37か条の安全提言を米国沿岸警備隊に提出し、大会開催の許可を得ていました。今回その安全提言の一部が撤回されることになるので、これに対し沿岸警備隊がどう判断するか、現時点では不明です。最悪大会の中止を命令される可能性もないとはいえません。

2. "不安全な"ラダーエレベータの復活

今回の裁定を受け、ラッセル・クーツはオラクルも安全規定に捉われない新しいラダーエレベータを装備すると同時に、ルールを巡るドロドロした争いが復活するだろうと facebook 上でコメントしています。

今回は久し振りに長文となってしまいました。

アリンギとオラクルの法廷闘争以来、こういったゴタゴタになると俄然ノリノリになるブログ主とんべえでした。

ようやくアメリカズカップらしくなってきたと思いません?

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2013年7月 9日 (火)

ラダーの何が問題なのか?

アルテミスレーシングが第34回アメリカズカップのレガッタディレクターであるイアン・マレーの示した37項目の安全提言に異を唱え、ルイヴィトンカップの開幕戦をボイコットしたことは、既にお伝えしたとおりです。

最大の争点はラダーに取り付けられたエレベータ(昇降舵)に関する安全規定とされています。そこで、マレーの提言に何が書いてあるのか、見直してようと思います。

上記のごとく、ラダーに関する規定は、マレーの提言のほぼ最初に出てきます。

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1.3 ラダーエレベータ

a) ラダー当たりの最小面積は 0.32m2 であること。

b) ラダー間における最小深さは 2.1m であること。

c) エレベータの最大翼幅は 1.4m であること。

d) ラダーエレベータの平面形状は対称形であること。またヨットの最大幅を越えてもよい。

e) エレベータの調整は予告信号まで許される。

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この安全規定は、エレベータの機能を拡充すると同時に、帆走中に破損するトラブルを避けるため、エレベータの強度を確保することを目的としていると言えます。

まず、安定翼であるエレベータの最小面積(0.32m2より大きくなければならない)と最小深さ(2.1mより深い位置になければならない)を規定することにより、エレベータの安定翼としての機能向上が図られています。

また、最小面積を規定する一方で最大幅を規定することにより、エレベータには一定以上の翼弦長(翼の前後長)が確保されることになり、強度の向上が図られます。

対称形であることは、エレベータの中央に支持体であるラダーが位置することを意味し、これも強度の点で有利になります。(下の動画で、元々オラクルがレースに使用するつもりであった非対称形のエレベータと、規定に沿って製作された対称形のエレベータが出てきますので、是非見比べてください。)

最後に調整が予告信号まで許されることとなったので、スタートギリギリまで、コンディションに合わせたアジャストが可能となります。

一方、今回規定によりエレベータは大型化するため、ドラッグ(抵抗)も増大します。その結果、特に軽風下でのボートスピードにマイナスとなる影響を与えることになります。

その為、基本的に同じデザインのボートでありながら、軽風下でしかチーム・ニュージーランドに勝てないといわれているルナロッサにとっては、大きな問題となっているのです。

バレンシア・セーリングによる取材映像で、ラッセル・クーツ自らがラダーエレベータの効果について説明しています。このなかでクーツは、エレベータの面積が大きいほど安定度が増すため、より安全な方向となるが、当然ドラッグは大きくなると語っています。

ISAFが指名した国際ジュリーによる裁定は、今週中ごろに出る予定です。もし満足のいかない裁定が出た場合、ルナロッサのオーナーで、プラダの会長であるパトリッツィオ・ベルッテリは今大会からの撤退を示唆しています。

さて、どうなりますやら。

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