カテゴリー「Life in San Diego」の記事

2014年11月 2日 (日)

第35回アメリカズカップの開催地は何処に?

2017年に予定されている次回アメリカズカップの開催地ですが、現在米国サンディエゴか英領バミューダ諸島の2ヶ所に候補地が絞られています。

当初は前回大会の開催地で、現在のカップ保有者であるゴールデンゲート・ヨットクラブ(GGYC)のお膝元サンフランシスコに加え、ニューポート、シカゴ、そしてサンディエゴとバミューダが候補に挙がっていましたが、早々にサンフランシスコとニューポートが脱落。その後、シカゴとハワイも落選し、現在2候補が残っている状態です。

35th America's Cup: Bermuda and San Diego shortlisted as America's Cup venues

大会オーガナイザであるアメリカズカップ・イベントオーソリティ(ACEA)は、年内に次回開催地を発表するとしています。

さて、現在候補に挙がっているサンディエゴとバミューダですが、次回大会にエントリを表明しているアルテミスのサイトに、それぞれの開催地でのレーシングコース案が掲載されています。

Artemis Racing: Statement from the America's Cup Teams meeting

バミューダのコース案

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サンディエゴのコース案

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どちらも大衆の面前でレースを行う”スタジアム・セーリング”を念頭に置かれたものです。

確かに従来のヨットレースは、レースの展開や勝敗が一般の人にはわかりにくいものでした。そのため、2013年に開催された前回のアメリカズカップでは、サンフランシスコのダウンタウンの目前にレースコースが設定され、さらにITを駆使したヴィジュアル化によって、レース展開をわかりやすくしていました。

今回のコース案は、そのアイデアを踏襲したものになっています。

しかし、かつてサンディエゴの住人であったブログ主とんべえにとって、バミューダのことはよくわかりませんが、サンディエゴの案はちょっといただけない気がしています。

まず、サンディエゴ湾内は大衆の面前でレースをするにはよいとしても、風が弱い。前回のようなダイナミックなフォイリングが期待できるのか? さらにシェルター島とコロナド島との間の海域が狭過ぎます。AC45ならともかく、AC62には明らかに狭いでしょう。

とはいえ、サンディエゴは良いところです。積極的に誘致を行っているサンディエゴによって作成されたこのビデオを見てください。

うーん、やっぱりサンディエゴがいいな。

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JSAFアメリカズカップ委員会は日本のアメリカズカップ再挑戦へ向けて活動しています。

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2010年2月24日 (水)

サンディエゴは雨のち晴れ - みなさん、ありがとうございました

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現地時間の2月21日(日)サンディエゴ湾に面したネービーピアに係留されているミッドウェイ空母博物館において、アメリカスカップ凱旋セレモニーが開催されました。

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セレモニー会場は空母ミッドウェイの飛行甲板上に設営されていました。当日現地サンディエゴは時折雨が降る不安定な天候でしたが、開会前の午後3:00頃には雨もあがり、雲間から青空がのぞくようになっていました。

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1995年ラッセル・クーツ率いるチーム・ニュージーランドがデニス・コナーを破り持ち去って以来、ニュージーランド、スイスを経て、15年ぶりにサンディエゴへ帰還したアメリカスカップは、ガードマンに左右を固められながら壇上に鎮座していました。

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世界中のセーラーにとって憧れである"至高の銀杯"は、サンディエゴの夕日を受け眩しく輝いていました。

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表面にはロイヤル・ヨット・スコードロン・レガッタにおいて、ヨット「アメリカ」が勝ち取ったカップであることが明記されています。

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また、側面から背面へかけ、如何なる外国のヨットクラブも挑戦し得る「チャレンジカップ」として寄贈されたことが記されています。

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さらに下には過去の全レース結果がゴール時のタイム差に至るまで、ひとつひとつ刻印されています。ちなみに近年書き切れなくなってしまい、台座が一段追加されています。

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午後4:00頃クーツやスピットヒルら、チームメンバーが飛行甲板上へ登場。ファンたちとの会話や記念撮影に応じると共に

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Photo Copyright: Gilles Martin-Raget/BMW ORACLE Racing

彼ら自身展示されている航空機を興味深げに見学していました。

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史上最年少のアメリカスカップ・ウィニングスキッパーとなったジェームス・スピットヒルは、複数のTV局からインタビュー攻めに合っていました。

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一方、ジョン・コステキを始めとする他のウィニングクルーは一列に並び、サイン会が行われました。

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サイン会が終わると、4人目の夫人である作家メラニー・クラフトを連れてラリー・エリソンが登場、記念式典が始まりました。

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Photo Copyright: Gilles Martin-Raget/BMW ORACLE Racing

式典はまずサンディエゴ市長ジェリー・サンダースの挨拶から始まり、市に貢献した人物に贈られる「鍵」がラリー・エリソンに手渡されました。

これを受けたエリソンのスピーチは、こちらです。

この中でエリソンは以下のように語っています。

「挑戦艇<USA(BOR 90)>のテストを通して受けたサンディエゴ市民からの歓迎に謝意を表したい。サンダース市長から次回アメリカスカップを是非誘致したいと言われたが、まずはゴールデンゲート・ヨットクラブの本拠地サンフランシスコ市にチャンスを与えなければならない。ただし、開催地はチーム・ニュージーランドやプラダ、オリジン、ショショロザ、そして挑戦者代表であるマスカルツォーネ・ラティノといった他のチームとも協議した上で最終的に決定したいと考えており、防衛者単独で選定することは決してない」

また上記YouTubeには収められていませんが、この後さらにエリソンは、

「次回大会は防衛者に支配されるのではなく、独立した組織によって運営される。ロイヤル・ニュージーランド・ヨット・スコードロン、ニューヨーク・ヨットクラブ、サンディエゴ・ヨットクラブといった全ての関係者に関与してもらい、誰もが納得するフェアなルールを制定する。アンパイアもジュリーも独立した組織とする。誰にでも公平にカップを勝ち取るチャンスがあり、ただ速い者が勝つ。そこには策略など存在し得ないのだ!」

と高らかに宣言し、会場からの喝采を受けていました。

また、第2レースで<アリンギ5>と<USA>が絡んだレイライン上の攻防に関し、ジョン・コステキは以下のように語りました。

「マテオ・プラッツィ(ナビゲータ)がレイラインまであと何艇身かコールしてくれていたから、どのタイミングでタックするか準備は出来ていた。タックした直後は、アリンギとミートすると思った。もしかするとアリンギがダイアルダウンを仕掛けてくるかもしれないとも思った。でも、実際には彼らもタフな状況にいて、そんな余裕はなかった。だから少しディップしただけで、充分上マークまで上ることができた。僕らにとっては幸いだったよ」

また、サンディエゴ出身の女性と結婚し、ポイント・ロマに住居を構えているジミー・スピットヒルは、司会のトム・イーマンから「嫁さんと"何か"することがあるから、サンディエゴから離れようとしない」と散々からかわれながら、以下のように語りました。

「史上最大のウィングをもつボートに乗って早朝からサンディエゴベイを走り回ったことは、忘れられない経験となった。ところでご存知のとおり、僕の家はポイント・ロマのキレイな丘の上にあり、妻はサンディエゴの出身で、彼女の両親も近所に住んでるし、2歳の息子もここにいる。だから、次にカップを闘うときには家族に近くにいて欲しいと願ってるんだ。というわけで、次回カップをサンディエゴで開催するようラリーと交渉するから、みなさん期待してくれ」

とにかく和気あいあいな雰囲気に会場は包まれていました。ところで、この映像で下に出てくる邪魔な一眼レプカメラを良く見たら、私の物でした  (ゴメンなさい、後ろから撮ってるなんて全然知らなかったんだ・・・)

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さて、一通りのスピーチが終わった後、実際に闘ったウィニングクルーやサポートスタッフ、さらにデザインチームの全員が壇上に上がり、記念撮影が行われました。

以下はこの日の模様を伝える地元TV局CW6のレポートです。

このあとBMWオラクルの面々はアメリカスカップと共に初代カップウィナー<アメリカ>のレプリカへ移乗。

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かつてのカップ保持者サンディエゴ・ヨットクラブまで海上パレードを行ったのでした。

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Photo Copyright: Gilles Martin-Raget/BMW ORACLE Racing

移動中も絶えずガードマンがカップを押さえています。実はこの日結構風が強く、ミッドウェイ上の壇上でも、カップはコトコト揺れていました。大きさの割りに意外と軽いのかもしれません。

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Photo Copyright: Gilles Martin-Raget/BMW ORACLE Racing

スピットヒルも住むサンディエゴ有数の高級住宅地ポイント・ロマの海辺にサンディエゴ・ヨットクラブはあります。かつてカップの住居であった3角屋根のクラブハウスは、カップの帰還を待ち受けるクラブメンバーたちで溢れんばかりでした。

こうしてアメリカスカップは15年ぶりにサンディエゴ・ヨットクラブに戻り、改めて歓迎セレモニーが開かれました。その模様はSAILKARMAがアップしています。

冒頭今回のBMWオラクルの挑戦を記録したドキュメンタリーが、近くHDにてリリースされることが明らかにされました。

その他、長いインタビューの中で語られた内容は、サンフランシスコやミッドウェイの甲板上で披露された話とほぼ同じでしたが、最後に<USA>の最高速を尋ねられたスピットヒルは、まだウィングが一段低かったサンディエゴでのテスト時に、18ノットの風を受け、42ノット(!)をマークしたことがあると語っています。

こうしてサンディエゴでの長い一日は終わり、カリフォルニアでのビクトリーツアーも完了、BMWオラクルの挑戦は一つのピリオドを迎えたのでした。

今回の対戦を振り返ってみると、それまで挑戦者決定戦すら勝ち残ったことのないラリー・エリソンのBMWオラクルが、19世紀に制定された「贈与証書」の規定を最大限に利用し、また2億ドル(約180億円)ともいわれる豊富な資金力によってトップセーラーを囲い込み、誰も真似できないようなハイテクボートを建造して、アメリカスカップを強引にアメリカへ奪い返したということができます。

しかし、その前後におけるエリソンの言動を見る限り、決して私利私欲を満たす為だけの行動ではなかったことがわかります。カップを不本意な形で奪われたアリンギのエルネスト・ベルタレリは、本業である製薬会社を手放し、カップをネタにビジネスを展開しつつありました。それは、カップの保持者として当然の権利であったかもしれません。しかし、その為ルールや運営方法を自身に有利な方向へ誘導し、商売のネタであるカップを簡単には失わない体制を築こうとするがごとき行動は、明らかに行き過ぎていました。

エリソンが金にあかしてカップを手に入れたのも事実です。しかし、逆に言うと世界第4位の大富豪である彼にとっては、カップで食っていく必要などないのです。彼にはカップの良きパトロンとして、今後カップを私物化するような行動が二度と起きないような仕組みを是非築いて欲しいと思います。

それでは次回大会がどうなるのか?

今回サンフランシスコとサンディエゴでのビクトリーツアーの間、エリソンは既に12~16チームが、次回大会への参加に興味を示していると再三明言しています。

一体誰が現れるのか? これを考える上で、まず基本となるのは2007年の第32回アメリカスカップへ参加したチームでしょう。この内現段階で次回大会へも間違いなく参加すると考えられるのは、以下の5チームです。

  • BMWオラクルレーシング(アメリカ): 防衛者
  • マスカルツォーネ・ラティノ(イタリア): 挑戦者代表
  • エミレーツ・チーム・ニュージーランド(ニュージーランド)
  • ルナロッサ(イタリア)
  • チーム・ショショロザ(南アフリカ)

続いて恐らく参加する、或いは参加を前向きに検討中と思われるのは、以下のとおりです。

  • アリンギ(スイス)
  • ビクトリー・チャレンジ(スウェーデン)
  • チャイナ・チーム(中国)
  • オール・フォー・ワン(フランス:K-チャレンジ(仏)とチーム・ジャーマニー(独)が合流)

次に2007年の大会以降、次回大会への参加を表明しているチームは以下のとおりです(アリンギが進めていた"幻の第33回大会"に参加するため、竹の子のように次々と現れたチームは一応除外します)。

  • チーム・オリジン(イギリス)
  • チーム・フレンチスピリット(フランス)

これにBMWオラクルやチーム・ニュージーランドがルイヴィトンと共に立ち上げたワールド・セーリング・チーム・アソシエーション(World Sailing Team Association: WSTA)から以下のメンバーが加わると予想されます。

  • アルテミス(スウェーデン)
  • シナジー・ロシアン・セーリング・チーム(ロシア)
  • アズーラ(イタリア)

さらには、エリソンやクーツが披露した防衛者決定戦の復活により、以下の米国チームが参加する可能性があります。

  • ニューヨーク・ヨットクラブ
  • サンディエゴ・ヨットクラブ(チーム・デニス・コナー?)

思いつくまま候補を挙げたところで丁度16チームとなりました。前回大会でも非常に元気のあったイタリアからさらなる挑戦があるかもしれませんし、スペインからも出てくる可能性もあります。一方でスウェーデンから2チームが参加するのはしんどいかもしれません。

ということで、多少の変動はあるにせよ、基本的にはWSTAが中核となって現在のルイヴィトン・トロフィがアメリカスカップ本戦へ向けたサポートイベント(かつてのルイヴィトン・アクトのように)に衣替えし、世界を転戦することになると思われます。

そして、次回アメリカスカップの本戦は恐らく2013年アメリカ西海岸で開催されることになるでしょう。最近のエリソンの言動を見る限り、やはりサンフランシスコは有力な候補地です。風もよく、またセーリングの醍醐味を広く公衆にアピールする意味でも、大都市の目前でイベントを開催できることは大きな魅力です。

一方のサンディエゴは、かつて3度アメリカスカップを開催した実績がありますが、致命的に風が弱く、またレース海面も街から遠くなります。よって、スペクタクルなセーリングシーンをアピールするには、サンフランシスコに劣ります。従って、取りざたされているニューポートでの開催も含め、2年半の法廷闘争で一貫してBMWオラクルをサポートしてきたサンディエゴ・ヨットクラブとニューヨーク・ヨットクラブに敬意を表する意味で、検討のテーブルに一応乗せているだけと考えられます。

レースの使用艇に関しては、最終的にモノハルに落ち着くのではないでしょうか? 何故なら、ルイヴィトン・カップや防衛者決定戦の復活といったアイデアから、基本的に旧来のアメリカスカップへの回帰をBMWオラクルは目指している節があるからです。ただし、マルチハルのもつ恐るべきポテンシャルを見てしまったセーリングファンに、どういったボートを提案するか? 単にTP52を少し大きくしたようなボートでファンが納得するか? 問題は山積みです。

これに対し、サンディエゴでの式典中エリソンは以下のように語っていました。

「エンジニアリングの追求は重要だが、ウィングセールのような技術は誰にでも扱えるものではない。理想はエンジニアリングとセーリング技術の比重が50:50であることだ。次回アメリカスカップには、技術とスキルのバランスが取れたレースを目指したい」

ということで、これから始まる議論の中で、きっと皆が納得する提案をしてくれることでしょう。

今後のスケジュールですが、クーツはとりあえず3週間ほどゆっくり休みたいと語っていました。従って当面大きな動きはないと思われます。

以上の様に、今回のビクトリーツアーの終了をもって、第33回アメリカスカップを巡る一連の物語はエンディングを迎えました。

その最終日であるサンディエゴでのセレモニーにおいて、BMWオラクルのメンバーたちと触れ合えたことは、ブログ主とんべえにとっても大切な思い出となりました。

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すっかりミーハーに戻ったとんべえは、帽子・トレーナーとポスターにサインをかき集めていました。

イベントの途中、チームの広報責任者ジェーン・イーグルソンとも再会することができました。ジェーンはとんべえに向かって「私たちがカップと一緒に帰ってくるって信じてたでしょ!」と明るく語りかけてきたので、こちらからも「もちろん信じてたよ!」と返しておきました。本当に素晴らしいエンディングでした。

ということで、2年半に渡りサンディエゴからお伝えしてきた当ブログも、ここで一旦区切りを付けたいと思います。

これまでご愛読をいただき、また貴重なコメントやアドバイスをいただいた皆様、本当にありがとうございました。ここであらためてお礼を申し上げたいと思います。

といっても、当ブログを完全に閉鎖するつもりはありません。先にお伝えしたとおり、とんべえは近く日本へ帰国する予定となっています。よって、これからは少しペースダウンして、これは!というような情報があれば、今度は日本から少しずつアップしていきたいと思っていますので、宜しくお願いします。

帰国後とんべえはかつて所属していたJ/24のチームへ復帰し、再びレース活動を再開することになると思います。

とんべえとJ/24との付き合いは、まだ学生であった1988年の第8回J/24全日本選手権において、レース運営に携わったことが始まりでした。その年の全日本は強風に見舞われたシリーズでしたが、シアトル・ヨットクラブのマーク・ローラのヘルムにより、トップとリタイアを繰り返す強烈なチームがいました。それまで地方の弱小ヨット部に所属していたとんべえにとって、初めて目にする全日本レベル、特にトップかリタイアかという激しいレースを見せるその艇名が強く印象に残った貴重な経験でした。

その後関西に就職し、あるときJ/24に乗ってみないかという誘いを受けました。誘われたチームの名前を聞いて驚いたのは、全日本で強烈な印象を受けたそのチームだったからです。

それからかれこれ20年、今でもそのチームに籍を置き、とんべえ自身も1991年の碧南大会以来、海外で過ごした時期を除いて毎年J/24全日本選手権に参加してきました。近年日本のJ/24は非常にレベルアップしているため、最近は余り良い成績を残せていませんが、こちらも自分なりのペースで楽しめたらと思っています。

そして、今回の対戦を通して今感じていることは、やっぱり海に出よう!ということです。このブログをご覧になっている方で、もしまだヨットを経験されていない方がおられましたら、是非挑戦してみてください。もちろん最高峰であるアメリカスカップと草レースとでは全く次元が違いますが、それでもヨットは本当に楽しいスポーツです。

例えばJ/24がどんなに楽しいボートかというと・・・・

・・・という冗談はさておき、とにかく是非一度体験してみてください。

というわけで、とんべえも日本へ帰ります。もしどこかのハーバーで落書きだらけのBMWオラクル帽子をかぶっている人間がいたら、それはきっと私です。その時は、是非声を掛けてください。

それでは皆さん、日本でお会いしましょう!

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2010年1月 4日 (月)

あけましておめでとうございます。

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Photo Copyright: Kazenotayori

皆様、あけましておめでとうございます。

ついに第33回アメリカスカップの年がやってきました。

1秒差で決着するという、あの素晴らしかった前回大会から2年半、泥沼の法廷闘争を経て、ようやくカップは海上へ戻ってくることになりました。

その間、人々はカップに対する興味を失い、また世界経済が冷え込む中、多くのスポンサーも去る等、アメリカスカップを巡る環境はすっかり変わってしまいましたが、その一方で前代未聞のモンスターマルチハル同士の対決という、2年前には誰にも想像できなかった全く新しい扉が開かれる結果にも繋がりました。

この2月バレンシアで始まるアリンギとBMWオラクルの対戦は、きっとアメリカスカップの歴史の中で長く語り継がれる対戦となるでしょう。そう考えるだけで、ワクワクする年の始まりです。

果たして一体どんなことが起こるのか、しっかりと見守って行きたいと思います。

さて、ブログ主とんべえ一家は飛行機を乗り継ぎ、サンディエゴから4000km離れたアメリカ大陸の反対側、フロリダ州セントオーガスティンでこの年末年始を過ごしてきました。

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日本では余り知られていませんが、セントオーガスティンはアメリカで最も古い都市です。そこにはブログ主とんべえがかつてジョージア州に住んでいた頃に下宿していたアメリカ人夫妻が移り住んでいるため、今回4年振りに尋ねることにしたのでした。

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そのご夫妻の住居は、郊外のゴルフ場に併設された閑静な住宅地の中にあります。平坦で湿地帯の多いフロリダの景観は、カリフォルニアとまた少し変わった趣があります。

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家中クリスマスグッズで綺麗に飾られていました。

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ダイニングテーブルも、我々を歓迎するため綺麗にセットアップしてくれていました。

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4年前にはハイハイしかできなかった息子も・・・

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今ではご夫妻のお孫さんたちと一緒に遊べるほどになりました。(あ、デジカメの時間設定が西海岸になったままだ・・・)

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1995年にサンディエゴで買ったお揃いのニッチャレ・トレーナーもちゃんと持っていてくれました。ということで、ツーショット。

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イルカと戯れ・・・

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海岸をドライブし・・・

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桟橋から打ち上げられる大晦日恒例の花火を見物し・・・

元旦恒例の Sugar Bowl でゲーターズ(フロリダ大)を、TVの前で家族揃って応援し・・・と、充実した休日を過ごして、サンディエゴへ戻ってきました。さぁ、今年も頑張るぞー、と。

さて、アメリカスカップの近況ですが、欧米もクリスマス休暇に入っていた為か、大きな動きはありませんでした。「3DL」に対する原産国規定に関しても、今のところ明確な結論は出ていません。

「3DL」に関しては、Gみかんさんが非常に詳しい解説をコメント欄にして下さっています。Gみかんさん、どうもありがとうございました。また、不在にしていましたため御礼が遅くなり申し訳ありませんでした。お陰様で「3DL」の経緯を非常に良く理解することができました。今後とも色々とコメントをいただけますと幸いです。

一方、防衛艇「アリンギ5」、挑戦艇「BOR 90」(対戦時には「USA」に改称される予定)は、ともに現地時間の1月4日無事バレンシアへ到着しました。

Alinghi: Alinghi arrives in Valencia for the 33rd America's Cup

BMW ORCLE Racing Blog: Coming in...

Sail World: America's Cup: Both Challenger and Defender arrive in Valencia

以下はオラクルのブログにアップされたコンテナ船「Oceanlady」の接岸映像です。ちなみにオラクルは手狭なアメリカスカップハーバー内ではなく、バレンシア港内の別の場所へ新たなベースを設営しています。

両艇はこれから各々陸揚げされ、準備が整い次第開催地での帆走を開始する予定です。

ここでお知らせですが、この年末年始をフロリダで過ごしたブログ主とんべえは、アメリカスカップ観戦よりも、もっとワクワクすることを現地で見つけてしまい、2月のバレンシア行きをキャンセルする決意を固めました。

現地からのレポートを楽しみにしていた皆さんゴメンナサイ!

しかし、ネットを駆使した情報収集は継続しますし、アメリカならではのニュース報道も間違いなく提供されるはずですので、これらは逐一当ブログにアップして行きたいと思います。

実際前回のアメリカスカップでも、TVの実況中継の方が風向の変化や両艇の相対位置等々を解説者のコメントを交えながら得ることができましたので、レースの展開を現地で見ている以上に把握することができました。

よって、前回Mixiのアメリカスカップコミュにレポートしたのと同様のレース速報を、今回はこのブログを通してお伝えしていきたいと思っていますので、お楽しみに!

それでは皆様、本年も宜しくお願いします!

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2009年12月25日 (金)

Merry Christmas!

南国サンディエゴにもクリスマスシーズンがやってきました。

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米国北東部は大雪で大混乱ですが、サンディエゴはいつも通り暖かいクリスマスです。

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この一週間で3回も SeaWorld へ行ってしまいました。シャムーショーはいつもながら素晴らしい迫力です。

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BBQリブも美味いし。

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BBQチキンも美味いっす。

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クリームたっぷりのシャムークッキーもお約束。

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息子のお気に入りは、シャムーよりもこっちのシーライオンショー。

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とにかく笑けます 

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特に"BIFF"役のお兄さんの熱演は、何度見てもサイコーです。

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3日も通うと、"BIFF"もダブルキャストであることが判明。

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どっちも大熱演で、もう大ウケです。

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折角なので両方の"BIFF"と記念撮影

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シャムのナイトショーもこのシーズンはクリスマスバージョンです。

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シーライオンのナイトショーもクリスマスバージョン。

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"BIFF"も BABY NEW YEAR バージョン!

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さて、今年の我が家のクリスマスツリーはこんな感じ。

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ブログ主とんべえも来年は日本のヨットレース界に復帰予定なので、安全を祈念して今年はこんなオーナメントを加えてみました。(なんて書くと偉そうですが、一アマチュアセーラーですのであしからず)

ということで、皆様今年も色々とありがとうございました。来年も宜しくお願いします。

それでは、メリー・クリスマス!!

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2009年12月 1日 (火)

「BOR 90」サンディエゴでの全テストを終了 - バレンシアへ

この週末は色々と忙しく、記事アップが遅くなってしまいました。

さて、先週もお伝えしたとおり、16ヶ月に渡りサンディエゴでテストを重ねてきたBMWオラクルの挑戦艇「BOR 90」は現地時間の11月27日(金)最後の帆走テストを終え、バレンシアへ向けた出荷準備に入りました。

チームの公式サイトに発表された情報によると、この革新的ウィングセイルでのテストは大成功であったということです。

BMW ORACLE Racing: Testing concludes in San Diego.

「BOR 90」担当ヘルムス ジェームス・スピットヒルのコメント:

「僕らは今最終コーナーを立ち上がり、最後の直線に入っている。」

「対戦まで丁度2ヶ月余り、このテスト最終セッションにおけるセーリングの一瞬一瞬が、僕らにとってとてつもなく価値あるものだったよ。ウィングセイルを得たボートは更にパワフルになった。この最終セッションを通して、一体ウィングは何が出来るのかを学ぶことができたよ。」

この日の午前中、現地サンディエゴは風が弱く、外洋から濃い霧も押し寄せていた為、「BOR 90」はハーバーで待機を強いられました。

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Photo Copyright Kazenotayori

一見快晴に見えますが、遠方に見えるコロナドブリッジの向こうは深い霧に覆われていました。

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Photo Copyright Kazenotayori

光の加減により収縮性航空機用フィルム素材(Shrinkable Aeronautical Film)と公表されているウィング外皮の質感をご覧いただけます。決して"ツルツル"な素材ではありません。

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Photo Copyright Kazenotayori

ウィング基部のアップです。この巨大なウィングはたった一つのピボットによって支持されています。また2週間のテスト中セーリングを突如中止し、海上でウィングの表皮を剥がして内部を点検するというトラブルがありました。それ以降、写真左のように点検用のウィンドウが追加されています(どうやらファスナーで開閉可能のようです)。

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Photo Copyright Kazenotayori

しばし"羽休め"・・・

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Photo Copyright Kazenotayori

でもクルーは忙しく出艇準備に追われていました。

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Photo Copyright Kazenotayori

そういうときに限って、官憲の邪魔が入るんですよねぇ

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Photo Copyright Kazenotayori

さて、このウィング、サイドステイが例のエンジン/油圧システム&パワーウィンチと連結されていて、

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Photo Copyright Kazenotayori

海上でも自在に垂直角を変更できます。

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Photo Copyright Kazenotayori

反対側にもこの通り。

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Photo Copyright Kazenotayori

なぜそんなことをしているかというと、弛ませた下側のテンションシステムの確認をする為でした。

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Photo Copyright Kazenotayori

8枚のフラップの各上端部には板状のブラケットがあり、ワイヤーが繋がれています。このワイヤーによって各フラップの角度が調整されることになります。

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Photo Copyright SFJ/Sailing Anarchy

各フラップは完全に切り離されているわけではなく、それぞれの下端部が1段下のフラップの上端部と連結されています。また各フラップは完全な剛体ではなく、一定のねじりを許容する構造となっているので、その為各フラップの角度が異なっていても、後ろから見ると連続したリーチカーブを描いているように見えるわけです。

さて、天候が好転した午後1時過ぎ「BOR 90」は出艇し、感謝祭の連休でごった返すサンディエゴベイの中、片ハルを浮かせながら縦横無尽に走り回ります。恐らく10ノットも吹いていないようなコンディションでしたが、恐るべきスピードを見せ付けます。

その模様を動画でお見せできないのが残念ですが、幸いにして地元TV局 FOX 5 San Diego がライブカムでも実況していました。下記はセーリング・アナーキーのACフォーラムにアップされた、FOX 5 の映像です。

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同じスピードで走っているチェイスボートと、曳き波が全然違うことに注目ください。

BMWオラクルの公式ブログによると、センターハルが水面についている"半"フライング状態でも、20ノット以上のスピードをマークしていたということです。

BMW ORACLE Racing Blog: That's a wrap

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Photo Copyright Kazenotayori

さて、こうしてサンディエゴでの最終セーリングを一気に終えた「BOR 90」はベースへ戻り、バレンシアへ向けた出荷準備に取り掛かります。

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Photo Copyright Kazenotayori

まず、いつものようにマストを左舷側へ倒し

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Photo Copyright Kazenotayori

センターハルの両舷をボートで挟みながら、ハーバーへ押していきます。

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Photo Copyright Kazenotayori

ウィングマスト基部のジョイントにはマスト倒し用の補助ブームを抱き合わせられるようになっています。また8枚のフラップを操作するコントロールワイヤーは、このように最下段フラップでまとめられています。この中にコントロールシステムが存在しているのでしょう。どうやらメインエンジンを止める場合、ポータブル発電機(ホンダ製)で電力を供給することになっているようです。

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Photo Copyright Kazenotayori

右舷側のアマ。

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Photo Copyright Kazenotayori

ピンボケですがセンターハル(ヴァカ)。

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Photo Copyright Kazenotayori

左舷側のアマ。

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Photo Copyright Kazenotayori

先日お伝えしたスーパーヨット「Zenji」の前を横切って接岸します。

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Photo Copyright Kazenotayori

バウスプリット基部。あ、アシックスの運動靴だ

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Photo Copyright Kazenotayori

写真でどこまでお伝えできるかわからないのですが、現物はとにかく、とてつもなく巨大なボートです。

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サンディエゴには今でもACボート3艇が観光用として稼動していますが、この「BOR 90」を見慣れてしまうと、正直に言ってACボートすらスモールボートに見えてしまうほどです。このデカさが少しでも伝われば良いのですが・・・

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ウィング基部をスターン側から見ました。ウィング前端の肉厚はかなり薄そうです。先日コメント欄でも書きましたが、ウィングそのものはソフトセイル用のマストより華奢に出来ているのかもしれません。

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接岸作業もスピットヒル自身が各部を無線で指示しながら進められました。

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あたりはすっかり暗くなってきましたが、こうして無事接岸終了。

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すると、チームスタッフがやってきて、ハーバーで作業を見守っていた我々にポスターをプレゼントしてくれました。スタッフの中に広報担当のジェーン・イーグルソンがいたので声を掛けたところ「あなたが連絡をくれた日本人ブロガーね。来てくれてありがとう。さぁ、たっぷり見ていってね。」と歓迎してくれました。

さて、このとき他のスタッフから色々と話を聞きましたが、主な要点としては

  • ウィングセイルとソフトセイルの比較した結果、ウィングの方がかなり効率がよく、セイルエリアが小さいにも拘らずスピードも出ることが確認できた。
  • テスト期間中「BOR 90」は40ノット以上をマークした(余り風の吹かないサンディエゴにも関わらず)
  • アメリカスカップ本戦でウィングセイルを使うか、ソフトセイルを使うかは、まだ判らない。
  • アリンギのバタワースは防衛艇にウィングセイルを導入する予定はないと語っているが、オラクルとしては間違いなくアリンギもウィングを準備していると考えている。
  • アリンギは依然中東での開催を主張しているが、法廷は認めないだろう。
  • 裁判所からの何らかのアクションが来週(11月29日の週)にあるだろう。

ということでした。

ウィングが何故それまでも効率が良いのかに関して、明快な情報は得られませんでしたが、風を"受ける"ことによってセイルシェイプを形作るソフトセイルに対し、ハードウィングセイルは風を"流す"だけでよく、恐らく抗力(ドラッグ)がずっと小さいと思われます。また、今回のフラップはメインウィングとの間に間隙のあるスロッテッドフラップとなっているので、低ドラッグという点でさらに有利となっているはずです。従って、いわゆる揚抗比がソフトセイルと比べ大幅に良いと思われます。

これが、以前当ブログでもお伝えしたスティーブ・クラークの解説通り、浸水表面積が小さく抵抗が少ないというマルチハルの特徴と相乗効果となって、信じられないようなスピードを実現できるのではないかと思います。実際フライング時に接水しているのは、あの細いアマだけですから、ハル側の摩擦抵抗もかなり小さいはずです。(下記ご参考)

かぜのたより アメリカスカップ情報編: スティーブ・クラークによるアリンギ、BMWオラクル双方のマルチハルに対する技術的考察

またYouTubeにアップされている「BOR 90」の帆走シーンを見ると、ウェーブピアーシングバウの効果で、ややバウダウンの姿勢を保ちながらピッチングを上手く抑え、海面を切り裂くように走っていることが判ります。

正にクラークの言うとおりの開発アプローチをとっているといえるでしょう。

さて、この最終セーリングの翌日11月28日、サンディエゴは数ヶ月ぶりに本格的な雨が降りました。その中、ハーバーではウィングの取り外し、更には「BOR 90」の上架作業が行われました。

BMW ORACLE Racing Blog: Wet in San Diego

BMW ORACLE Racing Blog: Getting ready to take out the wing

BMW ORACLE Racing Blog: Down and out

BMW ORACLE Racing Blog: On the hard

さらに今週に入り、上架された「BOR 90」の出荷準備が着々と進められています。

BMW ORACLE Racing Blog: Getting ready to ship out

このように、まもなくこのモンスターはサンディエゴを去ってしまいますが、ここまで見守ってきた相手とこのまま別れてしまうのは忍びなく、是非アメリカスカップでの闘いぶりをこの目で見てみたくなってしまいました。

というわけで、バレンシアのホテルを予約してしまったブログ主とんべえでした

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頑張れ!BOR 90!(お土産にもらったポスター)

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2009年11月17日 (火)

「BOR 90」のジャイブ オンボード映像

最近すっかり「BOR 90」の話題ばかりですが、アリンギ側からこれと言ったニュースが入ってこないので仕方ありません。

さて、地元TV局 FOX 5 により新しい「BOR 90」のオンボード映像が公開されました。残念ながらハードウィングセイルでの映像ではありませんが、中々興味深い映像ですので、ご紹介します。(埋め込み禁止となっているため、リンクを下に記します。)

FOX 5 San Diego: Sailing Aboard The BOR 90

これは、11月6日付の当ブログでもご紹介した映像(ソフトセイル用の新マストが折れた11月3日に撮影されたジャイブ準備の映像)からつながるものと思われます。

まずジャイブしてジェネーカーとメインが返った後、グイグイと加速する姿が圧巻です。例のエンジン音も鳴り響いています。

また、ジャイブに合わせヘルムを切ったジミー・スピットヒルがジョン・コステキにヘルムを預け、反対側のステアリングへ走る映像も映し出されています。

コステキに渡してから反対側のステアを握るまで、たっぷり10秒以上掛かっており、如何にでかいボートとはいえ、これでジャイビング/タッキング・デュエルができるのか、疑問に思えてきます。

実際、以前エド・ベアードも巨大マルチハル同士の対決の場合、両艇が絡むシーンは殆どないのではないかという主旨の発言をしていました。もしかすると、次回アメリカスカップはアメンボのようなボートが夫々勝手に走り回って終わり・・・というような対決になるのかもしれません。

ともかく、パワーウィンチでサクサクとシートを引き込む様子も含め、多くのことを教えてくれる映像です。

さて、この「BOR 90」はサンディエゴでもすっかり人気者で、今朝の地元紙「サンディエゴ・ユニオン・トリビューン」の一面を飾りました。

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この写真を見てお気づきになるかと思いますが、ウィングセイルの一番下のフラップが外されています。

これに関しては、セーリング・アナーキーのACフォーラムに詳しくレポートされていますが、どうやら何らかの構造的トラプルがあったようで、昨日突然海上でフラップの外皮を剥がし、内部を何やら確認した後、外されてしまいました。その後、今日アップされたポストによると、今日の夕方このフラップは再び取り付けられたようです。

やはり構造的に複雑で、このウィングを使いこなすのは、トラブルとの闘いとなりそうです。ソフトセイル用の新マストが既にサンディエゴへ向け出荷されているという情報も、同じくセーリング・アナーキーのACフォーラムに寄せられているので、一通りのテストを終えた後は再びソフトセイルに戻されるのかもしれませんね。

いずれにしろ、開催地がどこに決まるか次第でしょう。

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2009年11月15日 (日)

DoGzillaの休日 & アリンギはまだ中東を諦めていない

その怪物のようなスケールと贈与証書(Deed of Gift:DoG)に基づく対戦をもじって、"ゴジラ(Godzilla)"ならぬ"ドジラ(DoGzilla)"という通称が付いているBMWオラクルの挑戦艇「BOR 90」ですが、一昨日もお伝えしたとおりサンディエゴ時間の11月13日は天候不順の為、また昨日はウィングセイルのメンテナンスの為、2日間のお休みをとりました。

一体どんなメンテを行うのか興味があったので見てきたところ、再びマストを倒し入念なチェックが行われていました。このマストが導入される模様を速報でお伝えした11月10日付当ブログのときと同様、マストは基本的に左舷側へ倒すことになっているようです。

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全体を収めると、相変わらずスケール感がありませんが・・・

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アップで見るとこのサイズです。

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フラップ上ではセイルクロスか何かをラミネートしているようでした。

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先日お伝えした第2・第3フラップのリンクトラブルは、リンクを繋ぐピンが外れた為と伝えられていますので、その対策も行われていると思います。ウィングセイルの左舷側は足場を組んで下から作業を行います。

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ゴロ寝できたら気持ち良い一日なんですが・・・

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何しろセイルエリアが半端でないので、メンテも大変です。

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ご先祖「アメリカ」もやってきて・・・

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遠い子孫の様子を見守っていました。

この「BOR 90」は昨日一日をかけてメンテを行い、サンディエゴ時間の今日11月15日海上テストを再開する予定になっています。

ところで、YUTAさんから質問を頂きましたが、このウィングセイルは"降ろす"ということが出来ないので、艇を止めるときは上に向けるしかなさそうです。

また、ハーバーに戻るたびに"降ろす(=マストを倒す)"というわけに行かず、ポンツーンにボートを固定してしまうと、風向に合わせ絶えず方向を変えることも出来ません。

その為、ハーバーに戻ってもマストを倒さず、ハーバーの入口でアンカリングすると共にスカンパーと同じ働きをする補助セイルを上げ、いつも風上を向くようにして停泊しています。

ということで、この巨大なウィングセイルは基本的に上げっぱなしの為、チームブログにアップされた記事によると、24時間体制で絶えずスタッフが船上に常駐することになったようです。

BMW ORACLE Racing Blog: Not a day off for everyone

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Photo copyright Gilles Martin-Raget / BMW ORACLE Racing

一年中暖かく穏やかなサンディエゴだからこそ出来ることかもしれませんが、完全なレース艇の上で宿直とは楽でありません。全く手のかかる"DoGzilla"君です。

さて、一方のアリンギ側ですが、まだ中東ラアス・アル・ハイマ(RAK)での開催を諦めたわけではないようです。

Valencia Sailing: SNG files brief in defense of its appeal; hires new lawyers

ソシエテ・ノーティーク・ドゥ・ジュネーブ/アリンギはRAKの開催を認めるようニューヨーク州最高裁上訴部での控訴審へ向けた手続きを粛々と進めています。つい先日バレンシアで開催することを明記したレース公示(Notice of Race)を発表しましたが、それはあくまで控訴が棄却された場合に備えてということだそうです。

同時にアリンギは新たにサリバン&クロムウェル法律事務所を自らの弁護団へ加えました。11月下旬に予定されている控訴審の口頭弁論は同事務所のロバート・J・ジウッフラ・ジュニア弁護士が担当することになるということです。

このところ法廷で連敗続きであったシンプソン・サッチャー&バーレット法律事務所のオストレイガー弁護士は、事実上解任されたということでしょう。

ちなみにジウッフラ弁護士は、エルネスト・ベルタレリが役員を務めていたスイスの銀行UBSの弁護士として活躍した経歴があります。なお、かつてアリンギのメインスポンサーであったUBSは、リーマンショックで巨額の損失を出した後スポンサーを降り、ベルタレリ自身も現在は役員から外れています。

控訴審には加速審議が適用され、12月中には判決が言い渡される予定です。

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2009年11月12日 (木)

アメリカスカップとハードウィングセイル - 1988年アメリカスカップ

昨日「BOR 90」が初めてサンディエゴ湾外へ出て、早くも片ハルを浮かせながらの帆走テストに入ったことをお伝えしましたが、その映像がBMWオラクルによって YouTube にアップされましたのでご紹介します。

さて、dragonさんから、1988年アメリカスカップについてコメントを頂きました。ご存知の方も多いと思いますが、1988年の第27回アメリカスカップは、突如として挑戦を表明したニュージーランドのマイケル・フェイと、前年オーストラリアからカップを奪回したばかりのデニス・コナーとの間で行われた対戦でした。

このときニュージーランドは「贈与証書」の文言を盾に巨大なモノハル艇での挑戦を表明します。これに対し、コナーも「贈与証書」の文言を盾に挑戦艇と全く異なるコンセプトのボート、即ち軽量コンパクトなカタマランで対抗します。

こうして生まれたのが、カタマラン版の「スターズ&ストライプス "US-1"」でした。

突然の挑戦を受けたコナーは、防衛艇の開発を効率良く進めるため、カタマランの専門家たちを自チームに招聘します。このとき含まれていたのが、7月3日付の当ブログ7月10日付の当ブログで登場したCクラスカタマランのエキスパート、ダンカン・マクレーンでした。

Cクラスカタマランでは非常に早い時期からハードウィングセイルが導入されていました。その効果を検証するため、コナーは2艇のカタマランを建造し、ひとつにソフトセイルを、もうひとつにハードセイルを搭載します。そのハードセイルの設計には、マクレーンの経験が生かされました。そして、最終的にコナーはハードセイル版を防衛艇として選び、サンディエゴ沖にてニュージーランドの「KZ-1」との対戦に望みます。結果はコナーの圧勝でした。

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1988年 第27回アメリカスカップにおけるカタマラン「スターズ&ストライプス "US-1"」 Photo Copyright: Bob Covarrubias Photography

従って、今回BMWオラクルがハードウィングセイルを挑戦艇に導入し、サンディエゴでテストを重ねていることは、1988年のアメリカスカップと不思議な因縁で結ばれているのかもしれません。

ただし、大きく異なるのは、そのデニス・コナーの勝利に大きく貢献したダンカン・マクレーンが、今回アリンギのテクニカルアドバイザーとして防衛艇「アリンギ5」の開発に深く関わっている点です。(11月5付当ブログでご紹介した YouTube 映像で、ダーク・クラマースと共にアリンギのサポートボートにのっているのがダンカン・マクレーンです。)

かつてアメリカのカップ防衛のため尽力したアメリカ人セイラーがスイスの防衛を助け、一方挑戦者となったアメリカチームの中核はニュージーランド人セイラーで占められているという現状をみると、アメリカスカップを国別対抗で語ることは、いまや全く意味がないということに改めて気付かされますネ。

(考えてみれば、アリンギのヘルムスはアメリカ人で、オラクルのヘルムス(「BOR 90」担当)はオーストラリア人です・・・)

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2009年11月10日 (火)

【速報】巨大な怪物出現!「BOR 90」のハードウィング現地レポート

今朝早朝からサンディエゴのBMWオラクルベースで行われた「BOR 90」のハードウィングセール導入作業の一部始終を、現地で見てきました。

とにかく想像を絶する大きさで、見た瞬間言葉を失います。まずは写真をご覧ください。恐るべき迫力です。

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マストの移動も大型クレーン2台がかりでした。

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慎重にピボットへ降ろしていきます。しかし、このサイズ!

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クレーンがサポートしつつも、基本的に「BOR 90」搭載のパワーウィンチだけでマストを引き起こします。先日 YouTube のオンボード映像で聞かれたのと同じエンジン音が辺りに響いていました。

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しかし、パフが入り始め、狭いハーバー内で係留したままでの作業を嫌ったのか、またマストを寝かし、ボートで押しながら「BOR 90」をハーバー入口まで移動します。

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前回の改造時ピボットを高くしたのは、この厚みのあるウィング基部に対応するためだったのでしょう。

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研ぎ澄まされたような輝きを見せるアマのアップです。

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とにかくその厚みといい、長さといい、少なくとも旅客機の主翼では見たことのないサイズでした。

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ハーバーの入口へ移動した後、アンカリングし、パワーウィンチを使用してマストアップが始まりました。

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要はウィンドサーフィンのマストアップと同じですが、「エイヤ!」では立ちません。

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パワーウィンチのエンジン音を響かせながら

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慎重に少しずつ立てられていきます。

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そして、遂に史上最大のウィングマストが姿を現したのでした!

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こうやって見ると「BOR 90」が小さいボートのようですが

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アップで見るとこんなに大きなサイズです。

さて、この後「BOR 90」は、このままウィングセイルでの初航海に出ます。

サポートボートから報道陣、セーリングファン等(アリンギのスパイも)の乗り込む多くのボートを従えながら、ニミッツ級原子力空母等が停泊しているサンディエゴ湾内を(迷惑にも)縦横無尽に走り回る様が、地元TV局 FOX 5 のサイトで紹介されています。ちょっと早送りされているようで、かなりコミカルな感じです。

また、この歴史的な1日の一部始終は、BMWオラクルの公式映像として YouTube にアップされていますので、ご覧ください。

さて、この強烈なイベントにすっかり隠れてしまいましたが、今日はもうひとつ大きなニュースが入ってきました。

先週末をかけて行われたゴールデンゲート・ヨットクラブ/BMWオラクルとの直接交渉で、合意に達することが出来なかったアメリカスカップ保持者ソシエテ・ノーティーク・ドゥ・ジュネーブ/アリンギは、遂に来年2月バレンシアで次回アメリカスカップを開催することに同意しました。

Alinghi: Alinghi ready for 33rd America's Cup in Valencia in February 2010

2年半に渡り暗礁に乗り上げていたアメリカスカップは、遂に次回対戦へ向け本格的に動き出すことになりました。しかも、今度は史上初の超巨大マルチハル同士によるマッチレースです。(まさに4月5日付当ブログでお伝えしたマスカルツォーネ・ラティノ代表 ビンセンツォ親分の言葉どおりの展開となってきました

しかし、今日このモンスターボートを目の当たりにし興奮冷めやらぬブログ主とんべえは、アリンギが勝とうがオラクルが勝とうが、どっちでも良くなってきました。(あ、ルイヴィトン・トロフィーのことも完全に忘れてました

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2009年11月 3日 (火)

【緊急ニュース】「BOR 90」帆走中にディスマスト!

米国時間の本日11月3日(火)、サンディエゴ、ポイント・ロマ沖でテスト中であったBMWオラクルの挑戦艇「BOR 90」は、突然ディスマストしました。

BMW Oracle: The BOR 90 has dismasted.

先週導入されたばかりの新マストは高さ200フィート(約60m)で、20階建てビルとほぼ同じ高さと言われていました。そのマストが帆走中突然折れ、ボートのアフトビームへ向け落下してきたということです。なお幸いにして怪我人はありませんでした。

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Photo Copyright: Kazenotayori

この写真は一昨日11月1日に撮影したものです。今回このマスト上のロゴ"BMW EfficientDynamics"のほぼ真ん中("BMW Effici/ /entDynamics")付近で破断しました。

ディスマスト直後の写真は、スカトロバットのブログコーナーにアップされています。

Scuttleblog: BOR 90 dismasted

下記AP電、並びにチームのブログでレポートされているヘルムス、ジェームス・スピットヒルのコメントによると、ディスマスト時の状況は次の通りです。

ESPN: BMW Oracle Racing trimaran dismasts in testing on Pacific Ocean

BMW Oracle Racing Blog: A tough break

  • 風・波ともに穏やかなコンディション下「BOR 90」はポイント・ロマの20~30マイル沖において帆走テストを実施していた。
  • スターボードで帆走中、突然大きな衝撃と共にマストが折れ、アフトビームへ向け倒れてきた
  • 突然の出来事だったが、クルーは冷静に対処し幸い怪我人は出なかった。
  • サポートボートも迅速に対応したため、全員無事ハーバーへ戻ることができた。

ちなみにAP電によると、今回破断したマストは1100万ドル(約10億円)もするということです。

夕刻ポイント・ロマ沖からサンディエゴ湾内へ曳航される「BOR 90」の姿を写真に収めました。

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マストは完全に折れ、センターハル上に置かれています。また、新マストの導入と共に延長されていたバウスプリットも欠落しています。その他のダメージを遠目で確認することはできませんでしたが、レポートによると折れたマストはアフトビームを直撃したということですから、こちらも入念な確認が必要でしょう。

今日のサンディエゴは本当に穏やかな一日でした(恐らく沖合いでも10ノット程度しか吹いていなかったでしょう)。原因は現在調査中とのことですが、今日のようなコンディションで、まだ新しいマストがディスマストしたとなると、明らかに強度不足であったと思われます。軽風域での対戦を想定して、かなり無理をした設計になっていたのかもしれません。

いずれにしろ、挑戦艇「BOR 90」の開発プログラムは大幅な見直しを迫られることになりそうです。

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